巧遅拙速という四字熟語とは、「巧遅拙速に如かず」という格言を簡略化したものです。中国の兵法書として知られる「孫子」に書かれた表現であり、トヨタでも「カイゼン」の考え方として受け継がれてきました。ただ意味については、誤解されて使われている例も少なくありません。

巧遅拙速とは?新社会人に教えたい四字熟語【巧遅拙速に如かず】の意味

目次

  1. 四字熟語が縁遠い世代
  2. 巧遅拙速という言葉を用いるシチュエーション
  3. 新社会人に教えたい!巧遅拙速とは?
  4. 本来の巧遅拙速はどういう意味?
  5. 「巧遅拙速に如かず」は間違い?
  6. 孫子に書かれていた巧遅拙速
  7. トヨタの「カイゼン」に見る巧遅拙速
  8. 仕事で巧遅拙速は重要?
  9. 例文として巧遅拙速を使うなら?
  10. わかりやすく伝えるために

四字熟語が縁遠い世代

近年よく聞かれることですが、新社会人の新入社員に対して四字熟語を用い意味が伝わらないということが多くなってきました。今や新社会人の世代で仕事やプライベートを問わず、日常会話から四字熟語を使うといったことはほとんどありません。

知識としてもせいぜい簡単な四字熟語を聞いたことがあるというぐらいで、四字熟語はほとんどわからないといった人が多数派でしょう。四字熟語とは意味を理解している人に対して使ってこそためになるものであり、相手がそもそも意味を把握していなければ使っても正直意味がないのです。

使って通じなければ話が止まってしまうということで、あえて四字熟語を会話に用いない人が今後さらに増える可能性もあるでしょう。四字熟語には重要な意味がある言葉も多いのですが、その四字熟語自体が縁遠くなってしまいつつあります。

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巧遅拙速という言葉を用いるシチュエーション

巧遅拙速(こうちせっそく)とは、「巧遅拙速に如かず」という格言を四字熟語のかたちに簡略化したものです。巧遅拙速はさらに「巧遅」、「拙速」という言葉へ分解されます。「巧遅」とは、上手ではあるものの時間がかかることです。「拙速」とは逆に、下手ではありながらスピードはあるという意味です。巧遅拙速とは、ふたつの言葉がひとつになったものであるのです。

完璧な出来ではなくてもスピーディに処理することが、時間をかけ優れているものよりは良いという意味になります。この言葉を用いるシチュエーションの一例として、テストなどを当てはめることができるでしょう。どのようなテストにも、制限時間が設けられているものです。仮にすべての正解がわかっているとしても時間までに回答することができなければ点数にはなりません。

そこで、巧遅拙速という言葉を使うことができるのです。難しい問題に時間をかけすぎてわかりやすい問題に手をつけることができなければ、得点源を逸してしまうことになります。ですからわかる問題から解いていくことで最終的な点数は良くなる可能性が高く、正確性より数とスピードを重視すべき場合がまさに巧遅拙速ということになるのです。

新社会人に教えたい!巧遅拙速とは?

新社会人として、巧遅拙速の精神を持っていて損はありません。特に入社してからまだキャリアが浅いうちは、同じ仕事を任されたときの対応はまさに巧遅拙速であるべきであるのです。つまりいくら高いレベルで仕事をこなしても、肝心の納期を守ることができなければ評価にはつながりません。

多少のミスがあったとしても、納期を守って仕上げる人がより高評価ということになります。仕事は納期ありきのものですから、少しばかり遅れても大丈夫だろうと考えていてはいけません。どれだけクオリティを高く仕上げても、納期に遅れはがんばった意味は無になってしまうでしょう。

新社会人はわからないことが多くて当然であり、職場でも最初から完璧な仕事をすることは正直期待していません。ですから100%ではなくても、まずは納期を優先させるように考え巧遅拙速の精神で仕事をすることが大切です。

本来の巧遅拙速はどういう意味?

巧遅拙速は、中国の兵法書として知られる「孫子」に書かれた言葉です。つまり、本来は戦争の戦術について評した表現ということになります。そこではスピーディに行動することで、戦争も早く終わるということが示されていました。

もちろん、「巧遅」よりも「巧速」であればより理想的でしょう。しかしながら、仕事に関して言えば自分がこれ以上ないであろうという仕上がりになったとしても第三者にとってそれが同じように認められるとは限りません。

客観的な事実以外に主観の入り込む余地がありますから、仕上がったものに対する受け止め方は個人個人で異なるわけです。拙速であるとなれば自分では不満があるかもしれませんが、納期に余裕を持って作業が終わればそこからさらなる修正を加える時間も生まれますから必ずしもマイナスとはなりません。

「巧遅拙速に如かず」は間違い?

巧遅拙速の正式な表現、「巧遅拙速に如かず」に関しては間違いではないかとする考え方もあります。ことわざで言うと、「急がば回れ」が「巧遅拙速に如かず」の対極となるでしょう。ですから仕事のスピードが早くても、その仕事に間違いばかりがあっては良くないと考えられるわけです。

もちろん理想は仕事が早く、その上に間違いもないケースです。ただ、社会人として一定の経験を積んでいかなければ仕事の精度を上げていくこともできません。そのクオリティを高めるためにも、巧遅拙速に如かずという言葉を心がける必要があります。

時間ばかりをかけ自分なりには納得して仕事を終わらせても、そう簡単に完璧なものとしては認められません。それよりも「ダメ出し」されることまでを想定し、巧遅拙速に如かずを意識して早く仕上げることを心がけましょう。

孫子に書かれていた巧遅拙速

巧遅拙速の由来が孫子にあることは、よく言われています。孫子の第二篇である「作戦」において、

兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧の久しきをみざるなり

とされているのです。ここで言う「拙速」は、厳密には現在の「巧遅拙速」の使われ方とは違っています。

孫子を著した春秋戦国の武将である孫武は、孫子で戦い方に関する考えを示しています。そこでは、「巧」が徹底的な勝利を意味しています。完全に勝利したいからと戦争を長引かせることが、「遅」となります。ですがそうなると、国力はかなりの度合いで消耗してしまうでしょう。

そもそも孫子では巧遅拙速の前提として、しっかりとした備えがないまま安易に戦いを始めることや長引かせることは良くないとされているのです。そして孫子で言う「拙」は、完全な勝利ではないとしても戦いを始めた背景となる政治的な意図が達されていることを指しています。それであればすぐに戦いをやめ、成果を得る重要性が「速」であるというわけです。

トヨタの「カイゼン」に見る巧遅拙速

トヨタと言えば、言わずと知れた世界的な日本の自動車メーカーです。そのトヨタに、「カイゼンは巧遅より拙速」という言葉があります。トヨタ発の言葉がまとめられた書籍である「人を育てるトヨタの口ぐせ」にも、この言葉はまとめられています。そこで巧遅拙速、トヨタのカイゼンが結びついている人もいるでしょう。

このカイゼンとはトヨタにおいて作業を見直す活動であり、トヨタの生産現場で安全を確保しまた作業を効率化するためのものでもあります。カイゼンでは改善すべき点について上司から指摘があった際、とにかくすぐに行動しなければなりません。

状況を踏まえてスピーディに行動することで、そのアクションが成功しなかったとしても評価されるということです。考えているばかりでは現場を外れることになる例もあるほどカイゼンでは巧遅拙速が重視されていて、トヨタの実績を生み出してきた強みともなっているのです。

仕事で巧遅拙速は重要?

近年は、ビジネスにおいて瞬発力が一段と求められるようになっています。それにつけても、現場では巧遅拙速の実践をおすすめします。どのような仕事にも納期があるものであり、結果的にそれが守られなければ何もしていないことと同じであるとして受け止められるのです。ですから、必然的に「巧遅」よりも「拙速」であるべき仕事が多いでしょう。

巧遅拙速を実践するにあたっては、仕事の作業スピードだけでなく着手するまでのスピーディさもまた重要です。着手から作業までのすべてに時間がかからなければ、その後でさらにブラッシュアップすることのできるチャンスも多くなります。

「拙速」を重ねていくことで、ビジネスマンとしてのレベルアップにもつながるでしょう。ただ、巧遅拙速にこだわりすぎてクオリティに問題がありすぎては信頼獲得には至りません。

例文として巧遅拙速を使うなら?

「巧遅拙速に如かず」の言葉を実際に用いるとすると、たとえば仕事がある意味で自分勝手になってしまう同僚へ使うことが適当でしょう。一例として、社内でのプレゼンテーションを控えて準備に力を入れている部下がいるとします。

一生懸命に見栄えがするような資料を用意しているものの、その作業ペースでは発表を行う会議の当日までに到底間に合いそうもありません。そのようなときには、「どれだけ良い物を作ろうとしても発表に間に合わなければ無駄になるだけだから巧遅拙速に如かず」とアドバイスすることができるわけです。

また、内容はどうあれまずは期日に間に合わせて形にすることが求められる仕事を部下へ任せるときにも適しているでしょう。この案件は巧遅拙速に如かずで納期が最優先といったように強調すると、わかりやすいかもしれません。

わかりやすく伝えるために

伝えたいことをわかりやすく伝えるためには、常に普段から親しんでいる言葉で話すことがベストであるとは限りません。スピーチの場などでも、話をする人が座右の銘として四字熟語を紹介するケースは往々にしてあります。

その場では耳慣れない言葉もあるのですが、印象深いものであれば言葉の由来や意味も含めて頭に入ることもあるでしょう。実際、四字熟語は古典から使われるようになったものも多いためなじみがない言葉も少なくないのです。

にもかかわらず現在へ至るまで言葉が残っている理由は、四つの漢字だけでしっかり意味が伝わるわかりやすさにあるのかもしれません。巧遅拙速にしても、今の時代のビジネスに活用することのできる四字熟語です。正しい由来や意味を把握した上で、オフィスでのコミュニケーションに活かしてみましょう!

かっこいい四字熟語まとめ!座右の銘にしたい英語や語感の意味は? | MensModern[メンズモダン]

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