甘いだけの恋愛小説は苦手、読み飽きた…。そんな大人のアナタにおすすめしたい恋愛小説があります。様々な感情や事情を抱える主人公たちの、十人十色のリアルな恋愛模様。大人にこそ読んでほしいおすすめのロマンス・恋愛小説15選をご紹介します。

小説おすすめの恋愛編。人気の大人向けロマンス・恋愛小説15選

目次

  1. 大人にこそ読んでほしいおすすめロマンス・恋愛小説15選
  2. 青春を追う禁断の純愛『ナラタージュ』(島本理生)
  3. 愛について問う大人の恋愛『マチネの終わりに』(平野啓一郎)
  4. 絶望と隣り合わせの幸福が愛おしい『ウエハースの椅子』(江國香織)
  5. 生と死の儚さを語る『ノルウェイの森』(村上春樹)
  6. 往復書簡で伝える大人のやるせない想い『錦繍』(宮本輝)
  7. 愛を探す大人たちの恋愛小説『東京湾景』(吉田修一)
  8. 40代男女が繰り広げる瑞々しい恋愛模様『無銭優雅』(山田詠美)
  9. 純粋な恋と優しい嘘が美しい『恋愛寫眞ーもうひとつの物語』(市川拓司)
  10. 自分らしく生きる女性たちが主役『肩ごしの恋人』(唯川恵)
  11. 愛するゆえの別れが切なくも美しい『サヨナライツカ』(辻仁成)
  12. 2つの物語が駆け抜ける『ロマンス小説の七日間』(三浦しをん)
  13. 濃密に堕ちていく純愛を描く『ツ、イ、ラ、ク』(姫野カオルコ)
  14. ほのぼのと沁みる大人のための恋愛小説『センセイの鞄』(川上弘美)
  15. 真夜中の空をきっと眺めたくなる『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)
  16. みんなの小さな幸せを紡ぐ『タイニー・タイニー・ハッピー』(飛鳥井千砂)
  17. ゆったりしたひとときに大人向けロマンス・恋愛小説はいかが?

大人にこそ読んでほしいおすすめロマンス・恋愛小説15選

恋のときめきはいくつになっても感じていたいですよね。現実の恋ももちろん素敵ですが、恋愛小説の世界に浸ってみるのはいかがですか?でも甘いだけの恋愛小説では楽しめない、という方もいるでしょう。

そんな酸いも甘いも噛み分けた大人にこそ読んでほしい、おすすめのロマンス・恋愛小説15選をご紹介します。様々な感情や事情を抱える主人公たちが繰り広げる、十人十色のリアルな恋愛模様に、きっと笑って泣いて、共感するはず。名作恋愛小説をさっそく見ていきましょう。

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青春を追う禁断の純愛『ナラタージュ』(島本理生)

教師×生徒の禁断の恋愛を描いた恋愛小説

大学二年生の春、主人公・泉の元に母校の演劇部の葉山先生から電話がかかってきます。高校時代に片想いしていた先生からの電話に泉はときめくものの、その内容は後輩の卒業公演への参加依頼でした。

久しぶりの再会と重ねていく時間に、泉の中で抑えなくてはいけない想いが募っていきます。高校卒業時に打ち明けられた秘密と小さな過ちが2人の物語を複雑に進め、ただ愛することの難しさを読者にありありと見せる、純愛小説です。

青春時代を思い出したい時におすすめ

タイトルの「ナラタージュ」とは、映画などである人物の語りや回想によって過去を再現する手法のことです。タイトル通り、この小説はすでに結婚している現在の泉が忘れられない過去を振り返り、狂おしくも純粋だった恋を見つめる物語です。

読めばきっと、青春時代の真っ直ぐに恋をしていた記憶を思い出すはずです。そして同時に、今ある幸せを噛み締めることができるでしょう。人のずるさや不器用さが描かれながらも、確かに純愛と言える物語です。

愛について問う大人の恋愛『マチネの終わりに』(平野啓一郎)

アラフォー男女の切ない大人の恋愛小説

38歳ギタリストの蒔野と、40歳ジャーナリストの洋子。蒔野のコンサートで出会った2人はすぐに意気投合し、必然のように惹かれ合っていきます。互いに相手のことを、自分が最も成長できる存在であると感じていました。しかし、洋子には婚約者がいました。

スランプに陥りもがく蒔野と、人知れず体の不調に苦しむ洋子。次第に2人はすれ違い、蒔野を想うマネージャー三谷の介入によって関係は分かたれてしまいます。経験を積んだ大人の目線で描かれる過去と未来、愛との向き合い方について考えさせられる物語です。

美しい音楽と共に世界観にじっくりと浸るのがおすすめ

主人公がギタリストということもあり、作中にはクラシックギターの演奏と実際の楽曲が数多く登場します。その時の情景が音楽と共に思い起こされるようになっているのです。

作中に出てくる美しい音楽を実際に聞きながら、『マチネの終わりに』の世界観にじっくりと浸るのがおすすめです。苦く切ない、でも強くて真っ直ぐな、大人だからこそ感じられる大きな愛を描く、極上の大人向け恋愛小説です。

絶望と隣り合わせの幸福が愛おしい『ウエハースの椅子』(江國香織)

幸福と絶望を見つめる大人向け恋愛小説

主人公・私は38歳の画家で、中庭のある古いマンションに1人で住んでいます。そこに訪れる完璧な恋人と過ごす時、2人でいるときの私がすべてだと感じるほどに、愛と幸福に満ち足りていました。しかしそれは、絶望と隣り合わせの幸福でした。

恋人には妻と娘と息子がいます。そのため、恋人が帰っていく度に絶望を感じるのです。不倫であることは分かっていても抜け出すことができない、私。絶望と寄り添いながら幸福の背を撫でるような日常に、切なさが込み上げる人気の大人向け恋愛小説です。

「ウエハースの椅子」は幸福のイメージ

タイトルになっている「ウエハースの椅子」とはどんな意味があるのでしょう?主人公が子供のころ好きだった、ウエハース。そのウエハースで作った椅子は、主人公にとって幸福のイメージであると記されています。

そこに存在することはできるのに、力を加えれば簡単に崩れてしまう、「ウエハースの椅子」。主人公のどうにもならない境遇が重なります。孤独や絶望という哀しみさえも美しく表現した描写に注目です。

生と死の儚さを語る『ノルウェイの森』(村上春樹)

喪失に絡まる複雑な大人の人間模様

37歳のワタナベは、ドイツに向かう飛行機の中でビートルズの「ノルウェイの森」を聴き、大学生の頃のことを回想します。高校時代に自殺した親友キズキの元恋人であった直子と再会したことや、大学で知り合った緑との関係を中心に、物語が進んでいきます。

ある日、姿を消した直子からの手紙で、施設に入居していることを知らされます。ワタナベは直子を訪問するようになり、直子を世話するレイコとの関係も深まります。排他的な時代の中で、喪失という哀しみにひっそりと絡まる複雑な人間関係を描いた、人気の大人向け恋愛小説です。

リアルな恋愛小説を読みたい人におすすめ

『ノルウェイの森』は、恋愛小説といえども生と死の儚さについて語っている物語でもあります。登場人物たちは幾つもの死別を経験し、それゆえに苦しんだり、前を向くことを決意したりと様々な反応を見せます。

作中で恋愛模様が進んでいくにつれて、生と死がいかに儚いものかについても深く考えさせられます。恋愛と生死が強く結び付くこの小説は、まさに人生の物語と言えるでしょう。同時代を生きてきた方はもちろん、リアルな恋愛小説を読みたい方にもおすすめです。

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往復書簡で伝える大人のやるせない想い『錦繍』(宮本輝)

往復書簡で過去を振り替える恋愛小説

かつて夫婦だった亜紀と有馬。10年前、ある事件を境に突然終わった2人の関係をもう一度繋いだのは、偶然の再会と往復書簡でした。当初、事件の真相を巡って交わされていたはずの手紙は、次第にこれまでの10年間のことを語らう場となっていきます。

過去と未来、生と死というキーワードを根底に紡がれる両者の人間性や心情を、主人公たち同様に読者も手紙から知ることになります。ただのロマンスではなく、悲しいだけのバッドエンドでもない、2人の生きる力を見守るような人気の恋愛小説です。

おすすめポイントは手紙や言葉の美しさ

『錦繍』の良さを語る上で欠かせないのは、何といっても往復書簡の形式で綴られているということでしょう。物語は、亜紀のこんな美しい手紙から始まります。

簡単にメッセージを送り合える今だからこそ、手紙で交わされる美しく強い言葉の数々に胸を打たれるでしょう。時を経て更に大人になった今、手紙でのみ伝えられるものがあることに気付くはずです。ぜひ、10年という月日を感じながらゆっくり読み進めてください。

愛を探す大人たちの恋愛小説『東京湾景』(吉田修一)

出会い系サイトから始まる大人の恋愛小説

品川埠頭の倉庫に勤める25歳の亮介は、涼子と名乗る女性と出会い系サイトで知り合います。ぶっきらぼうな初対面から、徐々に惹かれ合う2人。しかし涼子というのは偽名で、実際は美緒というお台場の大手石油会社で働くキャリアウーマンなのでした。

狂おしい恋愛をしてきた亮介と、人を信じていない美緒。体を重ね大人の時間を過ごす2人ですが、どこか心はすれ違ったまま。互いに嘘と隠し事を秘めた関係は、やがて愛おしさによって変化を遂げていきます。切実に愛を探す、大人向け恋愛小説です。

想いを鮮明にする繊細な描写

東京湾岸を舞台に繰り広げられる、仕事もライフスタイルも違う一見不釣り合いな2人の恋愛模様。穏やかな文体で淡々と綴られていながらも、繊細な心理描写によって鮮明に表現されています。

そして東京湾などの風景描写も魅力的です。渇いた心が東京湾と互いの存在によって潤されていく様に、熱い思いが込み上げます。同時に愛とは何か、人を信じるとはどういうことかについても読者に問いかけてきます。

40代男女が繰り広げる瑞々しい恋愛模様『無銭優雅』(山田詠美)

人生後半に始まった熱い恋愛小説

友人と花屋を経営する慈雨と、古い日本家屋に独りで暮らす予備校講師の栄。42歳で出会った2人は、大人なら当たり前にある悩みを互いに抱えながら、人生後半に始まった恋を熱く謳歌していきます。

派手さはないものの幸せあふれる恋愛模様と、別れとの向き合い方を真っ直ぐに美しく綴った物語です。大人の恋とは少し違う、けれど大人にしかできない恋を描いた大人向け恋愛小説です。

恋愛の楽しさを思い出したい大人におすすめ

『無銭優雅』では、主人公が40代ということもあり、死について考えさせるような言葉が随所に出てきます。栄からの告白もまさにそうした言葉です。そんな死の予感をスパイスにした恋愛模様は、他の小説と違った味わいがあります。

それでいて、2人の関係はひっそりとしたものではありません。むしろ甘く瑞々しく描かれており、微笑ましくなるようなものです。子供に返ったような瑞々しい恋愛を見せる2人が、恋愛の楽しさを思い出させてくれます。

純粋な恋と優しい嘘が美しい『恋愛寫眞ーもうひとつの物語』(市川拓司)

カメラが繋ぐ美しい恋愛小説

カメラマン志望の主人公・誠人は、人付き合いが苦手な大学生。それなのに嘘つきで少し変わっている静流とは不思議とすぐに打ち解け、共に写真を撮るようになります。やがて静流から想いを告げられるものの、好きな人がいる誠人は応えることができません。

ですが、子供のような容姿をしている静流の、オリジナリティあふれる言動や感性に触れる度、誠人の方も徐々に惹かれていきます。そんな中、静流は卒業を待たず姿を消してしまいます。嘘つきな静流が最後まで守り抜いた嘘が胸に迫る、人気の恋愛小説です。

純粋で優しい恋に触れたい人におすすめ

今作の登場人物たちは、それぞれに純粋でひたむきで、だからこそ不器用です。そんな未熟な子供のような彼らが大人になっていく過程にある、淡くほろ苦い恋愛模様が繊細に描かれています。

結末まで読み切った時、きっと幾つもの言葉が思い出されるはずです。その1つは表紙にも記されている言葉かもしれません。切なさと温もりを感じる言葉です。初々しい2人が作り出す優しい世界に、大人だからこそ胸を掴まれるでしょう。

自分らしく生きる女性たちが主役『肩ごしの恋人』(唯川恵)

恋愛を糧に成長する大人女性の恋愛小説

女であることを武器に積極的な恋愛を繰り返しているるり子と、自分も男も信用できず恋愛にのめり込めない萌。対称的で親友の2人に、様々な男性たちが関わっていきます。

萌の元彼でるり子の夫である信之、るり子の元彼で萌を不倫相手としている柿崎、萌に拾われた家出少年の崇など。個性的な面々の間を不器用ながら颯爽と駆けていく2人。女性たちが恋愛を経て自分の生きる道を見つけていく、おすすめの恋愛小説です。

自分の在り方に悩む人に読んでほしいおすすめ小説

『肩ごしの恋人』では、鋭く印象的な言葉が数多く出てきます。27歳のるり子と萌はもちろん、まだ大人とは言えない高校生の崇の言葉にも、胸に刺さるものがあります。

たとえば、るり子のこの言葉。大人になるにつれて誰でも我慢することが上手くなっていくものです。しかしその中で我儘が言えるということ、これは自分らしくあるということです。どこまでも自分らしく生きる強さに前向きになれます。

愛するゆえの別れが切なくも美しい『サヨナライツカ』(辻仁成)

愛と別れを題材にしたおすすめ恋愛小説

好青年と呼ばれる主人公・豊は、赴任先のバンコクで謎の美女・沓子と出会います。互いのことをほとんど知らないままに惹かれ合う2人。しかし豊は日本に婚約者がいる身、それでも2人は濃密な逢瀬を重ねていきます。

初めは形だけだった関係に、やがて芽生えていく愛情。互いを想い、愛するゆえに別れを決意します。そして25年の時を経て、同じ地で偶然の再会が。愛を貫く美しさに震える、大人向けの人気恋愛小説です。

愛することの強さを知れる人気小説

バンコクの街並みや流れる空気を色濃く映しながら、熱烈に愛を描写する『サヨナライツカ』。作中、物語の核となる愛について綴った、考えさせられるこんな詩があります。

愛されることは当然素敵なことですが、誰かを一途に愛したことは、それ以上に強く胸に残ります。それがきっと、愛の強さなのです。究極に愛を感じたい方におすすめです。

2つの物語が駆け抜ける『ロマンス小説の七日間』(三浦しをん)

現実とロマンス小説が交差する奇妙な恋愛小説

主人公・あかりは海外ロマンス小説の翻訳家。ある日、半同棲中の恋人・椎名が仕事を辞めてきたと告げ、1人で旅に出たいとまで言い出します。困惑したあかりは募る苛立ちを、翻訳中のロマンス小説の主人公、中世騎士と女領主にぶつけてしまいます。

度重なる事態の変化に、翻訳しているはずのロマンス小説の創作も止まりません。七日後に迫った締め切りを前に、リンクする現実と小説世界の2つの物語。そこから見えてくる恋愛の捉え方や結婚観にも注目したい、新感覚の人気恋愛小説です。

スピード感に読む手が止まらないと人気

『ロマンス小説の七日間』が人気である理由の1つに、スピード感があるということが挙げられます。序盤は退屈な作中のロマンス小説も、あかりの手によって火が着いたように面白くなっていきます。現実でも様々なことが起こり、読む手が止まらなくなります。

ただテンポよく進むだけでなく、あかりの嫉妬心など、恋愛模様や心情が鮮やかに描かれているのも魅力です。ある意味現実離れした設定にも関わらず、そこにあるのはとてもリアルな恋愛事情で、共感する部分がきっとあるでしょう。小説好きはもちろん、漫画好きにもおすすめです。

濃密に堕ちていく純愛を描く『ツ、イ、ラ、ク』(姫野カオルコ)

恋愛について考えさせられる衝撃の恋愛小説

近畿地方にある田舎に暮らす少女が主人公です。物語は、森本隼子の小学2年生から33歳までの歩みを記しています。隼子は幼い頃から、周囲に大人びた子として認識されており、実際に中身はすでに立派な「女」でした。

周囲との差が色濃く出たのは14歳、河村先生との出会いによってです。互いを良くは思っていなかったはずの2人が、唐突に惹かれ合い、恋という穴に堕ちていく様が、リアルに表現されています。結末まで見逃せない人気の恋愛小説です。

濃密でありながら眩しいほどの純愛小説

隼子と河村先生の恋は、まさに「墜落」と呼ぶにふさわしいものです。恋愛と名付けるにはあまりに狂おしく、2人の始まりは性愛と言ってしまえるような、本能的なものです。

しかし読み進めていくと、これがどれほど眩しい純愛小説であるかに気付くでしょう。中学生というアンバランスな位置にいる時代の少女を、生々しく鮮やかに描いた『ツ、イ、ラ、ク』。大人だからこそ味わえる物語です。

ほのぼのと沁みる大人のための恋愛小説『センセイの鞄』(川上弘美)

大人にこそ理解できるおすすめ恋愛小説

駅前の居酒屋で主人公・ツキコが再会したのは、高校の恩師。10数年ぶりに会った30歳も歳上の「センセイ」とツキコは、偶然会えば隣に並んで、憎まれ口を叩きながらお酒と食事を取る仲になっていきます。

「ツキコさん、デートをしましょう」。そんなセンセイの申し出から、2人の関係はゆっくりと変化していきます。大人だからこそ理解できる、ほのぼのとしつつも真っ直ぐな恋愛模様。大切な誰かにきっと会いたくなる、人気の大人向け恋愛小説です。

悩んでいる時に読むのもおすすめ

『センセイの鞄』はセンセイが70代、ツキコも37歳と、実に大人の2人がクローズアップされています。しかし、それだけの歳の差があるためか、ツキコは自身の子供っぽさにも気付きます。それは大人の在り方について考えさせるものです。

大人になるにつれて出てくる、大人ゆえの失敗。今作では、そうした誰でもある弱い部分を肯定しながら、大人としての在り方を諭してくれるような、心に沁みる言葉がたくさん出てきます。何かに悩んだ時にもそっと背中を押してくれるでしょう。

真夜中の空をきっと眺めたくなる『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)

純粋に愛することと向き合う恋愛小説

人付き合いが苦手で、恋人をつくるつもりもない34歳の冬子。フリーで校閲の仕事をしているため人と会うことも少なく、淡々と毎日を過ごす冬子に変化が訪れたのは、カルチャーセンターで出会った58歳の三束という男性との出会いがきっかけでした。

短く途切れ途切れの会話を重ねるうちに気付く恋心。自分の誕生日に真夜中の散歩をするのを楽しみにしていた冬子が、次第に光の中を歩く様子が美しく描かれていきます。純粋に人を愛することと向き合う、おすすめの恋愛小説です。

真夜中の美しさに共感する物語

タイトルにもある「真夜中」というキーワードを軸にしたこの小説は、言葉選びが実に巧みです。「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」という一文から始まる冒頭は、冬子と三束という2人について多くを物語っているように思えます。

言い知れぬ孤独を抱えた登場人物たち。それはとてもリアルで、だからこそ光について交わされる言葉にはっとさせられます。ちょうど真夜中を美しいと感じる冬子のような気持ちを、読者も感じるでしょう。甘いロマンス小説では味わえない、美しくもどこか淋しい大人向け恋愛小説です。

みんなの小さな幸せを紡ぐ『タイニー・タイニー・ハッピー』(飛鳥井千砂)

幸せとは何かを優しく問いかける恋愛小説

タイニー・タイニー・ハッピー、通称タニハピと呼ばれるショッピングモールを舞台に、8つのエピソードが描かれています。本社からヘルプに来ていた徹と妻・実咲のすれ違いを描いた「ドッグイヤー」から始まり、それぞれ繋がりのある男女の様々な恋愛模様を綴られていきます。

大きな事件も狂おしい熱情もない、一見平凡な恋愛小説に見えますが、恋愛や人間関係という当たり前にあるテーマを元に、幸せとは何かを改めて考えさせられます。自分や人との繋がりを見つめ直す物語は、読者にも幸せをもたらしてくれるでしょう。

恋愛小説入門編としてもおすすめ

ここまで見てきた14作とは内容も構成も違う『タイニー・タイニー・ハッピー』。それぞれの物語がオムニバス形式で進んでいくという読みやすさはもちろん、「小さな小さな幸せ」を軸にした優しい恋愛小説なので、恋愛小説が苦手という方にもとても人気です。

とはいえ、若い頃に誰しも持つ悩みをみんな抱えながら、そこから幸せを見つけていきます。大人になってからその良さに気付くこともあるでしょう。登場人物たちと同世代の頃に読んでももちろん面白いので、時を経るごとに何度も読み返すことをおすすめします。

ゆったりしたひとときに大人向けロマンス・恋愛小説はいかが?

小説の良いところは、読む時々によって感じ方が変わるというところです。学生時代には理解できなかった背景や心情が、大人になってから読み返すと共感できたり、読み流していた一文に心を掴まれたり。違った角度から小説を楽しむことができます。

大人のリアルな恋愛模様が描かれているからこそ、得るものは多いでしょう。恋をしたい時、恋愛に少し疲れた時、時間をとって今回ご紹介した大人向けロマンス・恋愛小説を読んでみるのはいかがですか?きっと素敵な恋のときめきと出会えますよ。


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