スーツの裾上げ方法には、シングルとダブルの2種類があります。スーツを購入したお店でシングルかダブルかと聞かれた時に悩んでしまいますよね。そもそもシングルとダブルの違いは何なのか、裾上げのやり方はどんな方法があるのかをご紹介していきます。

目次
スーツの裾上げ、どうやってお願いしていますか?
スーツやスラックスを買った時に必ずやるのが「裾上げ」ですよね。スーツのスラックス自体がどんなに脚が長い方でも大丈夫なように作られているので、スーツを購入したお店でお願いしたりネットで買った場合は自分でしなければなりません。スーツスラックスの裾上げにはやり方が2種類あり、それぞれで着こなし方も変わってきます。
今回は、スーツの裾上げ方法とやり方、着こなし方についてご紹介していきます。お店でお願いすることも多いと思いましが、自宅で出来る簡単な裾上げのやり方もお教えいたしますので、スーツスラックスをネットで購入する方は是非やってみて下さい。
スーツの裾上げ方法はシングルとダブルがある
スーツスラックスの裾上げのやり方には、シングルとダブルがあります。お店によっては裾に縫い目が見えてくるジーンズ仕上げもありますが、今回はシングル仕上げとダブル仕上げについてご説明していきます。2つのやり方にどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
シングル仕上げとは?
シングル仕上げとは、いわゆる普通のスーツの裾上げ方法です。1回だけ折り上げてまつり縫いなどで裾上げしてある仕上がりのことを言います。シングル仕上げは、礼服で使われる裾上げのやり方です。正装である燕尾服などのスーツの場合には、礼儀として必ずシングル仕上げにしなければなりません。ですが、ビジネススーツの場合にはシングルでもダブルでも問題ありません。
イギリスではシングル仕上げが主流になっています。イギリス人でダブルの裾上げをしている人はほとんど見かけないそうです。イギリスのスーツスタイルは、肩ががっちり見えるように肩パッドが厚く、前ボタンが上の方についているのでVラインが狭くなっているのが特徴です。イギリス人の体型に合わせたデザインになっているので、日本人では似合う人は少数かもしれません。
ダブル仕上げとは?
ダブル仕上げとは、シングルよりも1回多く折り上げている裾上げのやり方です。シングル仕上げよりもカジュアルでスポーティなイメージがあるダブル仕上げは、若いビジネスマンの間ではおしゃれの一環になっています。ちなみに、外国人はダブル仕上げのスーツを着ていることが多いのですが、欧米ではダブル仕上げが主流となっているので流行ではないようですよ。
ダブル仕上げが主流なのがイタリアです。イタリアスーツは、イギリススーツと反対に肩パッドは薄く、袖のボタンが重ねボタン(ボタンとボタンの間がなく密着しているタイプ)になっているのが特徴です。また、スラックスの裾幅が細いので、細身のスラックスになります。今の日本のスーツはイタリア寄りなので、ダブルの裾上げをしている方が多くなっています。
裾上げがダブルになった由来は?
燕尾服やモーニングなどの正装が多かった昔はシングル裾が主流だったはずなのに、何故ダブルの裾上げが生まれたのでしょうか。起源には諸説あるようですが、どんな理由で裾を折り上げたのか見ていきましょう。
汚れないために折り返したのが始まり
どれが起源かは分かってはいませんが、裾が汚れないようにシングル裾を折ったのが始まりです。一般的に起源とされているのが、英国貴族が結婚式の会場に向かっている最中に裾が濡れないように折って、そのまま会場に入ってしまったのが始まりという説です。雨や泥がはねてスーツを汚さないようにしたのが始まりなので、ダブル仕上げはアクティブなスーツであることが分かります。
ダブル裾の幅はどのくらいがおしゃれ?
シングル仕上げとダブル仕上げの差が分かったところで、ダブル裾の折り返しの幅はどのくらいの長さがおしゃれに見えるのでしょうか。ちなみに、折り返しの幅のことを「カブラ幅」と言います。このカブラ幅がありすぎてもなさ過ぎても良くありません。おしゃれに見える長さをお教えいたします。
裾上げの幅でもおしゃれさが変わる
肝心なカブラ幅ですが、4.0cm前後がベストです。ちょっと長いかな、と思う方は3.5cm程度にすると良いでしょう。2.0cmや3.0cmとあまり幅が狭いとかっこよく見えないので、出来れば3.5~4.5cmの間で裾上げをしてもらいましょう。折り返しの部分は糸止めが主流ですが、折り返しにはホコリが溜まりやすいので、気になる方はスナップ止めでの裾上げがおすすめです。
無地のスーツならダブル仕上げがおすすめ
ダブルの裾上げは裾の重みですっきりとしたシルエットを作ってくれる他に、おしゃれに見せたりスリムに見えたりとメリットがありますが、どんなスラックスがダブル向きなのかシングル向きなのか気になりますよね。それぞれの裾上げのやり方で向いているスーツについてご説明します。
シンプルスーツにアクセントを加える効果が
無地のスーツなどのシンプルなスーツの場合、もちろんシングルでも良いのですがダブル仕上げにするとアクセントがついてシンプル過ぎないスーツコーデになります。細かいチェックなどの柄が入ったスーツをダブル仕上げするのも問題ありませんが、合わせるワイシャツやネクタイが影響してうるさく感じてしまうことがあります。
ちなみに、リクルートスーツの場合はシングルにしましょう。カジュアルでアクティブなイメージのあるダブル仕上げは、リクルートスーツの場合には取り入れない方が良いです。ダブルの裾上げをしたスーツで面接に行くという方はほとんどいないはずです。周りから浮かないようにするためにはシングルの方が無難ですよ。
裾上げにクッションは必要?
クッションとは、裾のたるみのことを言います。立った時に靴に少し乗っていてたぐまっている状態のことです。あの「たるみ」があるかどうかでおしゃれに見えるかが変わってきます。シングルとダブルでもクッションの違いがあるので見ていきましょう。
クッションがある方がおしゃれ?
裾上げの仕方がシングルの場合、ワンクッション入っている方がおしゃれに見えます。ワンクッションというのは、床ギリギリくらいの長さから1cm程度上がったところくらいの長さで裾上げをしたときの長さになります。靴を履くと靴の甲に裾が乗っている状態になりますので、くるぶしや靴下が見えないので不格好に見えることはありません。
反対に、裾上げがダブルの場合は裾に重みがあるのでワンクッションにする必要はありません。あまり長いとサイズが合っていないように見えて恰好悪くなってしまうことも。今の流行だとくるぶしが見える裾上げの仕方(ノークッション)も良いのですが、流行に左右されない裾上げをするのであれば、くるぶしが見えないくらいの長さ(ハーフクッション)くらいが良いでしょう。
自宅でスーツの裾上げをする方法とは
ネット通販で購入したスーツの場合、お直しをしてくれるお店もありますが、裾上げ代を掛けずに自分で裾上げをしてしまうということも出来ます。大量にスーツやスラックスを購入した場合は裾上げ代だけでも高くついてしまうので、自分で裾上げをしてしまいましょう。
スーツの裾上げが出来るアイテムを使って
裾上げのやり方としては、1つは誰でも簡単に出来る裾上げテープを使用する、もう1つは地道にまつり縫いをして裾上げをする方法があります。ダブル仕上げのやり方についてもご紹介しますので、器用な方は是非挑戦してみて下さい。
スーツの裾上げ方法①シングルなら裾上げテープで簡単に
まず1つ目の裾上げのやり方は、裾上げテープを使った方法です。裾上げテープというのは、アイロンをかけるだけでテープでスラックスをくっつけるという商品です。手芸店などでも購入できますが、100均でも売られています。この裾上げテープを使った裾上げ方法はシングル仕上げになりますが、簡単に裾上げをしたいという方にはおすすめです。
裾上げテープを使った裾上げのやり方ですが、まずスラックスの丈の長さを決め、そこを折り返しのラインとします。次に、アイロン台にスラックスを乗せ、当て布をしてスラックスにスチームアイロンをかけて折り目を良く付けます。折り返した部分が10cm以上ある場合はカットする必要がありますが、ダブルにする予定があるのならばそのままの状態で裾上げをします。
裾上げテープの長さは、裾の幅よりも2~3cm長くカットして水に浸して固く絞ります。接着面を下にしてテープを付けたい位置に置いて、当て布をしながらアイロンを使って少しずつ貼っていきます。全て貼り終われば裾上げの完了です。この時、裾上げテープを引っ張って貼らないように気を付けましょう。引っ張って接着させると、テープが縮んで裾が寄れてしまうのでご注意下さい。
スーツの裾上げ方法②器用な人なら手縫いでも
裾上げテープは見栄えがちょっと、という方は手縫いでまつり縫いをして裾上げをする方法があります。針と糸を使って縫っていくので、器用な方はこちらがおすすめです。折り返しのラインの付け方やプレスの仕方は先ほど紹介したやり方と同じです。三つ折りにしてしっかりと跡を付けた後は、待ち針で位置がずれないように固定します。裾端をまつり縫いしていけば裾上げの完了です。
まつり縫いとは、表に縫い目がほとんど出てこない縫い方です。繊維を少しすくって三つ折りにした山をすくって1セットを繰り返してぐるりと一周まつっていきます。まつり縫いの経験がない人にとっては加減が難しいとは思いますが、これが出来ると裾上げテープを使わずに出来るのでプロのような仕上がりになりますよ。詳しいまつり縫いの仕方は動画をご覧ください。
スーツの裾上げ方法③ダブル仕上げもミシンで出来る
上記はシングル仕上げでしたが、今度はダブル仕上げの裾上げのやり方をご紹介します。これは手縫いでは出来ないのでミシンを使わないといけないのですが、ミシンを持っている方なら出来る方法です。今回はカブラ幅を3.5cmとしてご説明していきます。まず、出来上がりのラインを決めます。そこから下に3.5cm、3.5cm、3.0cmとチャコペンなどで線を引いていきます。
3.0cmより下の部分は切ってしまって、裾端はかがり縫いをします。かがり縫いの機能がない場合は、端から0.5cmのところに捨てミシンをかけます。捨てミシンとは、縫い代より内側にほつれ止めとしてかける縫い目のことを言います。裏へ返したら上から3.5cmのところで折り、アイロンをかけて折り目をつけ、かがり縫いをした所から1cm下の部分に1周ミシンをかけます。
折り返すのでここは縫ってしまっても大丈夫です。縫い終わったら表に返し、下から3.5cmの部分で折り返します。ここでもアイロンをかけてプレスします。これだけだと折り返した部分が浮いてしまうので、縫い目の部分を糸止めかスナップ止めをすれば完成です。ちょっと難しいので、ダブルの裾上げはお店でお願いしてしまった方が無難かもしれませんね。
裾上げの相場価格は?
やっぱり自分で裾上げするのは難しいし面倒だ、という方はお店にお願いしてしまいましょう。裾上げの価格の相場は、シングルだと900円前後、ダブルだと1,200円前後が相場です。紳士服専門店のチェーン店の場合だと600円程度で出来ます。スーツの価格や糸止めかスナップ止めかでも値段が変わってくるお店もあります。
ダブル裾をかっこよく着るには?
シングル仕上げの場合には着こなしに気を付けることはそれほどありませんが、ダブル仕上げの裾の場合には上手に着こなさないとダサい印象になってしまうこともあります。ダブル裾をかっこよく着たい場合は、スラックスの丈はくるぶしが見える程度にした方が良いです。そうなると靴下が見えてくるので、スーツ全体に合う靴下をはいた方がかっこよく見えますよ。
スーツの裾と靴はバランスが大切
スーツの仕上げの違いで靴を選ぼう
スーツの裾の種類は靴とのバランスも重要になります。シングル仕上げの場合、つま先が長いタイプのマッケイ製法の靴がバランス良く見えます。マッケイ製法とはイタリアの伝統的な製法で、しなやかな印象を与えます。
ダブル仕上げの場合、つま先が丸くて重厚感のあるイメージがあるグッドイヤーウェルテッド製法の靴がおすすめです。これはイギリスで生まれた製法で、耐久性が高いのが特徴です。グッドイヤーウェルテッド製法の靴はシングルにも合わせられるので、ダブル裾のスラックスをよく穿く方はこちらを持っている方が良いと思います。
おすすめのビジネスシューズは?
ビジネスシューズには製法や形の違いなどがありますが、スーツの印象に合わせた靴を合わせると良いでしょう。ビジネスシューズにはシンプルなデザインのストレートチップやプレーントゥなどがあり、模様の入っているデザインのウイングチップやメダリオン等があります。いずれにせよ、耐久性が高くてデザインも流行に左右されないシューズがおすすめです。
自分に合った裾上げでスーツをおしゃれに着こなそう
スーツの裾上げ方法ややり方についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。かつてはシングルが主流でしたが、最近はダブル仕上げにしている方も多く、おしゃれに気を使うビジネスマンも増えてきましたね。スーツ販売店でもダブル仕上げを着こなしている店員さんをよく見かけます。
着こなし方によってはダサく見えてしまうことのあるダブル仕上げですが、裾の長さや合わせる靴に気を付ければぐっとおしゃれなスーツ男子になります。無難に着こなしたいという方はシングルにしておくのがベストですが、たまにはダブル仕上げのスーツにしてみてはいかがでしょうか。ご自身に合わせた裾上げ方法でビシっとスーツを着こなしてみて下さいね。
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