予後不良の意味とは?競走馬を安楽死させる理由【競馬用語解説】

およそ500kgの体重がある競走馬。競馬で多くの名レースを繰り広げる中では、そういった競走馬が骨折などから予後不良になり安楽死になることがあります。なぜ競走馬が骨折と診断された場合に安楽死されてしまうのでしょうか。予後不良の意味や名馬たちの姿を紹介します。

予後不良の意味とは?競走馬を安楽死させる理由【競馬用語解説】

目次

  1. 名馬でも予後不良と診断されてしまうと…
  2. 予後不良の意味を改めて紹介
  3. 予後不良と競走馬の宿命
  4. 脚の骨折で予後不良になることは安楽死につながる
  5. 予後不良後の安楽死の方法
  6. ある名馬の予後不良と延命処置
  7. 予後不良で安楽死させなかった結果
  8. 予後不良と診断された名馬たち
  9. 悲運の名馬と呼ばれた馬の予後不良
  10. まさかの名馬の予後不良
  11. サイレンススズカ独走の中でまさかの予後不良
  12. 感動の中で多くの悲劇も忘れてはならない

名馬でも予後不良と診断されてしまうと…

およそ500kgの馬体を4本の脚で支える馬。そんな馬は1本にかかる負担は120kgほどになります。それだけに、競馬の競走馬もレース中に怪我を負って骨折してしまうことがあります。

そういった場合に「予後不良」と診断されてしまうと、競走馬としては馬の体質の関係で再起不能になる場合が多く、安楽死されることが多いんです。

どんな名馬であれ、予後不良と診断された先にあるのは悲しい結末です。そんな予後不良の意味や、予後不良として名馬でありながら安楽死された競走馬などを紹介します。

予後不良の意味を改めて紹介

予後不良の意味は、競走馬が競馬の競争中に、何らかの原因によって脚部などを故障させた際に、回復が極めて困難と判断された場合のことをいいます。合わせてその結果、薬物を用いて殺処分の処置が診断された場合のことをいいます。

また、競争中に限らず、調教中にもどうようの事態に陥って、予後不良と診断されることもあります。基本的には、予後不良と言われると、安楽死の処置につながることを連想されることが多いですね。

競馬の競争中に骨折などで予後不良になる場合は「バンク」と表現されることもありました。そのため「あの馬はバンクしてしまったらしい」と言われると、予後不良のことを意味するわけです。

予後不良と競走馬の宿命

競馬のサラブレッドと呼ばれる競走馬たちは、予後不良に陥る可能性が高いのは宿命ともいえます。その理由は、サラブレッドの脚部は骨折やヒビが入りやすく、故障しやすい体質なんです。

そのため競走馬、特にサラブレッドは「ガラスの脚」と言われるほどなんです。馬の品種にもよりますが、サラブレッドは400kgから600kgほどの体重があり、単純に考えて脚1本に100kg以上の重さがかかっているわけです。

もし、下肢部が骨折やヒビを起こしてしまうと、その馬は他の脚で自重を支えることになります。こうなると、健全だった他の脚も蹄葉炎や蹄叉腐爛といわれるような病気を発症してしまうんです。

脚の骨折で予後不良になることは安楽死につながる

このため、骨折することはどんどん病状が悪化して、最終的に自力で経つことが不可能となるため、最終的に死を待つのみになってしまうんです。

骨折と診断されても、下肢部をの負荷を和らげるために、胴体をベルトで釣り上げたり、プールの中で、水中の浮力を利用するという方法で様子を見ることもあります。

しかし、この治療も治療費や飼育費などの金銭面の負担が多く、先程の病気などを発症する可能性が高く、なによりも回復する可能性がかなり低いという問題があります。

そういった理由から競走馬は走れなくなったと判断される、予後不良の診断は安楽死へと繋がることが大半なんです。それはどんな名馬でも同じことを意味するわけです。

予後不良後の安楽死の方法

予後不良が結果的に安楽死を意味するわけですが、実際にどのような方法が取られるのでしょうか。安楽死の意味としてもっとも行われる方法は、薬殺と言われる薬の投与によるものです。

麻酔薬や筋弛緩剤、心停止薬などが競走馬に投与されて殺処分されることになります。現在は減っていますが、国によっては銃によって銃殺するという手段を取っていた国もあるそうです。

日本も明治時代に場上で観客の前でピストルで、銃殺が行われたという記録もあるようです。しかし、現在は安楽死された馬は荼毘に付されたのち、馬頭観音に供養されています。

ちなみに、かつては殺処分された馬を馬肉に転用していたこともあるようです。しかし、現在の予後不良と診断され、安楽死された馬は薬殺処分のため、市場に流通することはないようです。

ある名馬の予後不良と延命処置

阪神3歳ステークスを初め、1977年の天皇賞春や有馬記念で優勝した名馬中の名馬である「テンポイント」。

そのテンポイントは1978年の日経新春杯において「左後第三中足骨開放骨折、第一趾骨複骨折」」という故障をしてしまったのです。

栗毛が美しい名馬で「流星の貴公子」と呼ばれてファンから愛された競走馬でした。しかし、この故障により予後不良と判断されてしまったのです。そのことは安楽死を意味するものだったのですが、ファンや馬主は「助命嘆願」を行ったのです。

予後不良で安楽死させなかった結果

テンポイントならきっと復活してくれるはず。ファンや馬主の強い願いから安楽死ではなく、治療をして闘病生活を行うことになったテンポイント。しかし、それはファンたちに競走馬が骨折するということの重さの意味を考えさせるものになりました。

テンポイントは闘病の結果、なんと体重は半分以下に落ちてしまって、脚の骨や肉が腐ってしまったのです。その苦しみからテンポイントは衰弱してしまい、骨折から43日間の延命治療の末に死んでしまったのです。

テンポイントのために、33名の獣医師からなる医師団が結成されたほどの大掛かりな延命治療でした。治療のために使われたボルトがテンポイントの体重によって曲がり、折れた骨がずれたままギブスで固定されてしまったのが大きな原因だったとも言われています。

結果的に最後まで安楽死は行われず自然死となったテンポイント。2つの場所で葬儀が行われたのは競走馬としては初めてで、動物としては忠犬ハチ公以来のことだったようです。

予後不良と診断された名馬たち

テンポイント以外にたくさんの名馬たちが予後不良と診断され、安楽死の処置が取られています。予後不良という言葉の意味や、競走馬の骨折という言葉の意味を改めて重く受ける気持ちになりますよね。

1966年に菊花賞で優勝し、中央競馬で重賞4賞をあげた「ナスノコトブキ」。1967年の天皇賞春で「左第三中足骨骨折等」と診断され安楽死の処置が取られました。

ナスノコトブキはレース前から状態がおかしく、出走を見送るかどうか迷っていたという話もあったそうです。しかし、結果的に出走しレース中に異常が発生しました。馬主側は種牡馬にするため治療を望んだものの、安楽死の処置の前に敗血症で死亡しました。

悲運の名馬と呼ばれた馬の予後不良

1987年の皐月賞と菊花賞に優勝した二冠馬の「サクラスターオー」。1987年の年度代表馬であり、JRA賞最優秀4歳牡馬に選ばれた馬でした。

生まれて間もなく母親を失っており、6ヶ月半の休み明けであり、9番人気ながら菊花賞に優勝したことから愛された名馬でした。

1987寝の有馬記念に休養に入る予定だったのを、無理を押しての出走の結果「左前脚繋靱帯断裂、第一指関節脱臼等」と診断される怪我を発症しました。一部では、他の馬が開けた穴にサクラスターオーが脚を引っ掛けたのが原因とも言われていました。

このサクラスターオーもすぐに予後不良で安楽死という処分ではなく、長い闘病生活をおくることになります。ファンから千羽鶴や激励の手紙が届く中、立ち上がろうとした際に症状が悪化。完全に自力で立ち上がれることができなくなり、安楽死になりました。

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まさかの名馬の予後不良

GⅠ優勝馬で予後不良と診断された馬はたくさん存在します。そんな名馬たちの中で、まさか予後不良という結果になると思わなかったのはあの「サイレンススズカ」だったかもしれません。

1998年の宝塚記念の優勝で代表的なサイレンススズカ。なによりも、とにかく大逃げでレースするというレーススタイルは競馬ファンにとっては、まさにヒーローのような名馬でした。

1998年に行われた天皇賞秋。サイレンススズカにとって有利な条件だっただけに、よほどのアクシデントが無い限りサイレンススズカが優勝すること間違い無し、と予想されていたレースでした。しかし、そのまさかのアクシデントがサイレンススズカを襲いました。

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サイレンススズカ独走の中でまさかの予後不良

レースが始まるとサイレンススズカはいつものように大逃げの展開で、スピードを飛ばしていました。テレビの中継カメラは目一杯、引いた映像でなければすべての出走馬を映せないほどの大逃げでした。

このままレースはサイレンススズカが制すると誰もが予想していた中、3コーナーを過ぎたあたりでサイレンススズカがまさか失速してしまったのです。

サイレンススズカまさかの「左手根骨粉砕骨折」という診断でした。競争は中止、診断の結果は予後不良でありすぐに安楽死の処置が取られたのです。まさかの名馬が予後不良で安楽死という展開は、競馬界にとって大きな激震でした。

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感動の中で多くの悲劇も忘れてはならない

サラブレッドとして生まれてきた馬たちが、そのまま余生を過ごすこと無く予後不良によって安楽死という処置を受けていることを忘れてはいけません。予後不良はGⅠ馬だけでも数年に1回起きています。

それ以外の馬でも予後不良になることはたくさんあります。予後不良というのは馬にとってせめてでも取れる処置ともいえます。予後不良でも延命治療を受けた馬たちは、苦しい闘病生活のうえ死んでいる馬も多いからです。

競走馬の宿命でもある予後不良という出来事。誰もが望んでいない予後不良という出来事ですが、それでも名馬たちが戦いの中でそういった出来事が起きていることも、競馬ファンたちは忘れてはならないといえますね。

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