夏目漱石と言えば言わずと知れた文豪です。彼は「こころ」「坊ちゃん」等の名作を残す一方、数々の名言、格言も世に残しています。今回は、そんな夏目漱石が残した名言、格言をご紹介すると同時に男の人生の生き方、人間のあり方について考えていこうと思います。

夏目漱石の名言・格言集から学ぶ、男の人生の生き方とはなにか

目次

  1. 日本を代表する文豪、夏目漱石!
  2. 夏目漱石の名言とそこに見る男の生き方
  3. 名言①:月が綺麗ですね
  4. 名言②:考えてみると世間の大部分の人は、悪くなることを奨励しているように思う。悪くならなければ社会に成功はしないものと、信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊ちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。
  5. 名言③:ある人は十銭をもって、一円の十分の一と解釈する。ある人は十銭をもって、一銭の十倍と解釈する。同じ言葉が人によって高くも低くもなる。
  6. 名言④:恐れてはいけません。暗いものをじっと見つめて、その中から、あなたの参考になるものをおつかみなさい。
  7. 名言⑤人間は好き嫌で働らくものだ。論法で働らくものじゃない。
  8. 名言⑥:人間の目的は生まれた本人が、本人自身につくったものでなければならない。
  9. 名言⑦:愛嬌というのはね、 自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ。
  10. 名言⑧:うそは河豚汁である。その場限りでたたりがなければ これほどうまいものはない。しかしあたったが最後 苦しい血も吐かねばならぬ。
  11. 名言⑨:食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く
  12. 夏目漱石の名言まとめ

日本を代表する文豪、夏目漱石!

教科書でもおなじみ夏目漱石

夏目漱石、本名夏目金之助は日本を代表する文豪で「坊ちゃん」「こころ」など数多くの名作を世に残しました。教科書で夏目漱石の作品を読んだ方もいっらしゃるのではないでしょうか。また人によっては夏目漱石と聞いて、旧千円札を思い浮かべる人もいるかもしれません。

夏目漱石の作品はエンターテイメント性に富んでいながらも、人間の内面の葛藤や人の生きることの困難性を小説という虚構を使い上手く表現しており、今でも多くの人間の心を掴んで離しません。文芸人や芸能人の中にもたくさんのファンがいます。また余談ではありますが、作品とは別に夏目漱石の端正な芸能人のような顔つきから、彼を好きになる女性ファンも多いとのこと。

多くの芸能人が魅せられ、演じてきた夏目漱石

夏目漱石は有名な文豪であるがゆえ、多くの芸能人に演じられてきました。例えば、芸能人としてだけではなく芥川賞作家としても活躍する又吉直樹は、ドラマや公告等で夏目漱石を演じました。彼自身も夏目漱石のファンでもあります。

また俳優の長谷川博己や豊川悦治も夏目漱石を演じており、文豪の風格を漂わせる演技を魅せてくれています(ちなみに豊川悦治は太宰治も演じたことがあり、芸能人の中でも特別に文豪を演じることが多い人です)。このように文豪、夏目漱石は多くの芸能人の方々に演じられており、そのことが夏目漱石が国民的作家であることを示しています。

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夏目漱石の名言とそこに見る男の生き方

それではさっそく夏目漱石の名言、格言をいくつかご紹介させていただこうと思います。夏目漱石の名言や格言は彼の代表作「こころ」の中に見られるような人間の生き方、真理を表現したものから「坊ちゃん」のようなエンターテイメント性に富んだものまで数多く存在してます。きっとあなたの心に響く名言、格言があることでしょう。

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名言①:月が綺麗ですね

夏目漱石の名言といえばまずこれ!

「月が綺麗ですね」この言葉は夏目漱石の名言として聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?また聞いたことのない人は、これのどこが名言なの?と思うかもしれません。この言葉は、もともと夏目漱石が英語教師をしていた頃に口にした言葉だと言われています。

ある授業で生徒が「I love you」という英文を「我、君を愛す」と訳しました。すると夏目漱石は「日本男児はそんな言葉は言わない、ここは「月が綺麗ですね」とでも訳しておきましょう、それで伝わるものです」とたしなめた言われています。つまり日本の男はそう、やすやすと女性に愛を語らず、また同時に日本には全てを語らずとも理解する風土があると言いたかったわけです。

この「月が綺麗ですね」は、今でこそ空気が読める民族などと呼ばれている日本人の機微を、夏目漱石が当時、すでに理解していたのだなとわかる名言です。今の日本では愛している人に「愛してる」と語るのが男らしいと思われるようになってきました。しかし、たまにはこんな遠回しで愛の告白をしてみると、逆に男らしさが伝わるかもしれません。

「月が綺麗ですね」には返しの名言がある

ちなみにこの「月が綺麗ですね」という名言には正しい返しがあります。それは「死んでもいいわ」というもの。この言葉は小説家、二葉亭四迷がツルゲーネフというロシアの文豪の「片戀」という作品を訳した際に「私はあなたのものよ」という文を「死んでもいいわ」と意訳したことで生まれた名言です。

「月が綺麗ですね」と「死んでもいいわ」、別々の経緯で生まれた二つの名言ですが、近年ではなぜか二つで一対のものとして認識されています。もしあなたが女性に対して「月が綺麗ですね」と小洒落た告白をした際、相手が「死んでもいいわ」と返してきたら告白は成功です。

名言②:考えてみると世間の大部分の人は、悪くなることを奨励しているように思う。悪くならなければ社会に成功はしないものと、信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊ちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。

人間の本質を突いた夏目漱石らしい名言・格言

これは少し気難しい性格だった言われる夏目漱石らしい、なんとも皮肉が効いたシニカルな名言・格言です。人間というのは道徳的に人に「純粋さ」を求めます。多くの文学、芸術は人の無垢さを褒めそやします。しかしその一方で、それを体現するような人間が現れたとき、人は彼らを「坊ちゃん」や「世間知らず」と揶揄したりもします。

夏目漱石はそんな世間を見て、純粋であることを揶揄するならば、もうそれは悪い人間であることを推奨しているに等しいと言っているわけです。現代でも「いつまでも少年の心を忘れないでいよう」なんて言葉がある一方「いつまでも子どもみたいなこと言うな!」と怒られもします。結局、いつの時代も大人には純粋さと、ある種のズルさのバランス感覚が大事なのかもしれません。

名言③:ある人は十銭をもって、一円の十分の一と解釈する。ある人は十銭をもって、一銭の十倍と解釈する。同じ言葉が人によって高くも低くもなる。

一つの事象を多方面から捉える、夏目漱石の感性と名言

「人の数だけ現実がある」なんて言葉がありますが、それは真理です。一つの事象でも感受性やその人が置かれている現状によって捉え方は変わってきます。例えば転んで怪我をした際も「なんて不運なんだ!」と嘆く人もいれば「この程度の怪我で済んで良かった」と思う人もおり、その反応は人それぞれです。

つまり見方さえ変えてしまえばどんな事柄も、夏目漱石が言うように高くもあり、低くもあるということです。両極端なその二つの見方は常に同時に存在しています。人間は多くの場合、自分の目の前の事象を悪く捉えてしまいがちですが、そんな時は見方を変えてみましょう。多角的に物を見る、それだけで人生は楽しくなります。夏目漱石のこの名言はそんなことを教えてくれます。

名言④:恐れてはいけません。暗いものをじっと見つめて、その中から、あなたの参考になるものをおつかみなさい。

名作「こころ」の中に登場する夏目漱石の名言

これは夏目漱石の著書「こころ」で、先生という登場人物が自殺し、その遺書の中に書かれていた名言です。先生はかつて親友の好きだった女性と結婚をして、結果その親友を自殺に追い込んでしまったという辛い過去を抱えている人物です。しかし先生はそのことを何年も誰にも打ち明けられず、胸の中に罪悪感を抱えたまま生きてきました。

しかし、ひょんなことから知り合った主人公と交流を深めていき、最後に彼に対し自身の心の葛藤を書いた遺書を残して自殺していくのです。遺書の中で先生は主人公に、自分の死は、おそらく君の人生に暗い影を落とす、しかしその影を恐れるな、じっくり見つめろ、そこから何かを見出してくれれば私は満足だという教えを与えます。

「こころ」に出てくる先生は自身の内側にある暗闇を永遠と見つめていた人物です。人間というものは自身の内にある暗闇には特別目を向けたくないものです。しかしそこから目を背けていては成長はありません。暗闇を見つめそこから何かをつかむことで人は初めて成長できるのです。もしこの名言に感化されたのなら、是非一度「こころ」を読んでみてください。

名言⑤人間は好き嫌で働らくものだ。論法で働らくものじゃない。

名作「坊ちゃん」に登場する名言

この言葉を胸を張って口にできたのは何歳くらいまでだったでしょうか?この名言は名作「坊ちゃん」の中で、主人公である坊ちゃんが口にした言葉です。彼はこの言葉の後に自分には合っていなかった教師という仕事を辞め、東京でサラリーマンになります。

人間は大人になると家族や守るべき存在、生活環境に流され、ただの好き嫌いで仕事を選ぶことができなくなっていきます。しかし思い返せば学生時代に初めて就職活動を行った際は、その仕事を好きなれそうか否かで選んでいました。その頃の判断基準に立ち還れとは言いませんが、その頃の気持ちを思い出すこともまた大切なこと、坊ちゃんの名言はそんなことを教えてくれています。

名言⑥:人間の目的は生まれた本人が、本人自身につくったものでなければならない。

自分の生き方は正しいのかと問いかけてくるような夏目漱石の名言

人の一生は他の誰のものでものなく自分自身のものです。しかし親や先生、あるいは会社の上司といった自分より目上の人間に出会う中で、人は自然と自身の生きる目標、目的を彼らに委ねてしまうようになります。親が言うからあの高校へ進学しよう、先生が言うからこの研究をしよう、上司が言うからこの仕事をしよう、などなど。

そんな風に言われた通りの目標、目的で生きるのは至極簡単なことです。しかし、それは自分自身の人生を放棄しているに等しい行為です。自分で決めた目標、目的に向かって生きることこそが真の意味で「生きる」ということなのです。そう考えたとき、自分は果たしてそのように生きられているのかと不安になりますが、この名言はそんなことを我々に問いかけてきます。

名言⑦:愛嬌というのはね、 自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ。

女性だけじゃなくて男にも愛嬌は必要だと思う

この名言もまた一つの真理です。愛嬌なんて聞くと女性が持つ特有の武器なんて思いがちですが決してそうではありません。例えば会社や学校で同じようなミス、失敗をしてもなぜか許される人間と許されない人間の二通りが存在します。両者を分ける要因は様々ですが、多くの場合は愛嬌が関わっていたりします。愛嬌があるだけで人はその人物を叱り難かったりしますから。

また愛嬌のある人は仕事ができなくても出世が早いという事実もあります。営業職などではその傾向は顕著.......。彼らは愛嬌でクライアントに「多少の難はあれども、この人と仕事がしたい」と思わせるスキルがあります。男たるもの実力で結果を残したい!と考えるところでしょうが、今仕事が上手くいっていない人はこの名言を思い出し愛嬌を身につけてみてはいかがでしょうか?

名言⑧:うそは河豚汁である。その場限りでたたりがなければ これほどうまいものはない。しかしあたったが最後 苦しい血も吐かねばならぬ。

人間は本質的に嘘つきだからこその、それを諌める名言

誰しも人から悪く思われたり、怒られたりすることは嫌なもの。ですから、それを回避するため様々な嘘をつくわけです。しかし嘘というのは当然バレるリスクがあります。いくら上手く嘘をついてもバレる可能性を0にすることはできません。そして一度バレてしまえば、この名言のような苦しみが待っています。誠実であることが何よりであるとこの名言は教えてくれています。

名言⑨:食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く

こんな風にできないのが辛い......

この名言のように生きられたならどれだけいいでしょうか.......大人になると人は何故か、食べたい時には我慢をし、眠たいのに仕事をして、むかっ腹がたっても言葉を飲み、涙を堪えて生きていくようになります。何故ならそうしないと社会では生きていけないからです。誰しもが自分の思うままに生きていたら社会は成り立ちません。

しかしそれでも人間には息抜きが必要です。いつまでも自分を律していては身が持ちません。ですから時には、この名言のように自分の心に正直になり、思いのまま生きる時間を作ってもいいでしょう。そうすることで普段の自分もしっかりと律することができますから。

夏目漱石の名言まとめ

夏目漱石の名言は人間の生き方を教える

さて「こころ」や「坊ちゃん」に登場する名言から、夏目漱石の名言までさまざまご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか?名言の多くは男の生き方についてだけではなく、夏目漱石らしく人間の生き方の根元についてまで考えさせられるものばかりだったのではないでしょうか。

これら数々の名言、格言は夏目漱石が今日まで多くの文化人、芸能人、読書家に愛され、教科書にまで載っている理由を端的に示しているように思えます。これを気にまた夏目漱石の作品を一から読んでみたり、彼の語録を買ってみてもいいかもしれません。そうすれば物語や、多くの名言から人間がどう生きればいいのかのヒントを得ることができるかもしれません。


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