小説にはさまざまなジャンルがあります。歴史小説は歴史上の人物や出来事に関心のある方や、小説を通じて歴史を学びたい方におすすめです。今回ご紹介するのは、読書の習慣がない初心者向けの読みやすい歴史小説や、歴史に詳しくない方にもおすすめできる12作の歴史小説です。

歴史小説おすすめ12選!初心者も読みやすい幕末&戦国時代モノは?

目次

  1. 日本の歴史小説は、戦国時代や幕末が舞台の作品が人気
  2. 司馬遼太郎作品の初心者にもおすすめの歴史小説
  3. 戦国時代の女性が多く登場する歴史小説
  4. 戦国時代のミステリーに迫る歴史小説
  5. 歴史家とともに戦国時代のミステリーに迫る
  6. 映画を見た人にもおすすめ
  7. 真田家メインの歴史小説初心者におすすめ
  8. 幕末が舞台の歴史小説初心者におすすめ
  9. 初心者におすすめの短編歴史小説
  10. 永倉新八が主人公の歴史小説
  11. 大河ドラマの予習・復習におすすめの歴史小説
  12. 幕末に生きた女性が描かれた歴史小説
  13. 吉村貫一郎が主役の歴史小説
  14. あなたのおすすめの歴史小説は何ですか?

日本の歴史小説は、戦国時代や幕末が舞台の作品が人気

歴史小説は、歴史上の人物や出来事を題材にしたものです。日本では、戦国時代や幕末を扱った歴史小説が多く出版されており、映画化やドラマ化、漫画化も行われています。

おすすめする理由①戦国時代と幕末は、知名度が高い

テレビ番組や教科書にネタバレをされたという人もいないわけではありませんが、一般的に戦国時代や幕末の人物や歴史上の大きな出来事は、学校の授業で習いますし、ゲームや漫画にも取り上げられています。つまり、歴史小説には、歴史に詳しくない方や読書の初心者にも馴染みのあることや、知っていることが書かれているので、手に取りやすいのです。

おすすめする理由②地理に馴染みがある

外国を舞台にした歴史小説の場合、地理や古い地名が理解できず、混乱することもあります。ですが日本を舞台にした歴史小説ならば、古い地名を知っている方は多いでしょうし、登場人物の名前が覚えられなくても「誰それの家族」と位置付けておけば、とくに問題なく読み進めることができるのです。

おすすめする理由③作家ごとに違った視点や切り口が楽しめる

歴史小説をおすすめするに当たって重要なのが、文章の好みです。分かりやすく読みやすい文章を書く作家もいれば、古く難しい文章を書く作家もいるように、文章にはその人の特徴が表れるからです。また、作家の価値観、歴史的な事実に対する考えや人物に対する好き嫌いも、歴史小説には描かれます。その違いが楽しめるのも、歴史小説の魅力と言えます。

司馬遼太郎作品の初心者にもおすすめの歴史小説

「国盗り物語」司馬遼太郎

1973年に大河ドラマ化された司馬遼太郎の歴史小説です。2005年にはテレビ東京の新春時代劇としてドラマ化されました。前半の主人公は斎藤道三で、油商人だった彼が、美濃(現在の岐阜県)の大名にのしあがる過程が描かれています。後半の主人公は、斎藤道三の娘である帰蝶を正室に迎えた織田信長です。

織田信長の義父について知りたい人におすすめ

この小説では、明智光秀は美濃の明智一族の人間で、帰蝶の従兄として描かれています。ですが明智光秀の正体には多くの説があり、真相は不明です。それにも関わらず、多くの歴史小説やフィクションに明智光秀が「美濃出身で帰蝶の従兄」として登場するのは、司馬遼太郎という作家と、彼が書き上げた歴史小説の影響が大きいからなのかもしれません。

戦国時代の女性が多く登場する歴史小説

「冬姫」葉室麟

「蜩ノ記」で直木賞を受賞した第146回直木賞を受賞した葉室麟の歴史小説です。タイトルになっている主人公の冬姫は織田信長の次女で、蒲生氏郷の妻になった女性です。母親の顔を知らず、乳母に育てられた彼女は、女は心に刃に持ち「女いくさ」をするものだと教えられて成長します。

織田信長の正室である帰蝶や側室のお鍋の方、妹のお市やその娘の茶々(後の淀君)、冬姫の異母姉である五徳、五徳の姑である築山殿(徳川家康の正室)、細川忠興の妻ガラシャ(明智光秀の娘)などが登場するので、戦国時代の女性に興味のある人におすすめです。短編エピソードが積み重なって物語を作っているので、読書に慣れていない人にも読みやすい上に、葉室麟作品の初心者にもおすすめです。

戦国時代のミステリーに迫る歴史小説

「信長死すべし」山本兼一

1582(天正10)年が舞台の歴史小説です。時の帝である正親町(おおぎまち)天皇は、武田家を滅ぼした織田信長を危険な存在と判断し、公家の近衛前久に密かに命令を下します。そこから本能寺の変に至るまでの人々の思いや行動が、この小説では描かれています。

ミステリー要素のある歴史小説が読みたい人におすすめの作品です。複数の人物の視点で物語が描かれ、クライマックスに向かっていく手法を、山本兼一は千利休を主人公にした歴史小説「利休にたずねよ」でも取り入れています。

歴史家とともに戦国時代のミステリーに迫る

「信長の棺」加藤廣

先ほどご紹介した「信長死すべし」は、本能寺の変の黒幕について描いた歴史小説ですが、「信長の棺」は、見つからなかった織田信長の遺体をテーマにした加藤廣のデビュー作です。加藤廣は75歳でデビューした遅咲きの作家ですが、ビジネスや経済の実用書も数多く手掛けています。

主人公の太田牛一は実在した人物です。彼は主君の織田信長から、ある命令と木箱を預かるのですが、それを果たす前に本能寺の変が起きてしまいます。自分が織田信長という人間の事を、知っているようで知らなかったことに気づいた太田牛一は、後に「信長公記」と呼ばれる伝記を完成させます。

映画を見た人にもおすすめ

「のぼうの城」和田竜

豊臣秀吉による小田原征伐の際に行われた、忍城(おしじょう)の攻防を描いた歴史小説です。圧倒的な豊臣の兵力には勝てないと考えた忍城の城主成田氏長は、城の留守を預かる部下たちに、豊臣の兵が攻めて来たら戦わず開城するように命じ、小田原城に向かいます。ところが、氏長の従弟である成田長親(ながちか)は、豊臣の使者に向かって降服ではなく抗戦を宣言するのでした。

この歴史小説の「のぼうの城」というタイトルは、成田長親が領地の村人に「のぼう様」と呼ばれていることに由来します。何を考えているのか分からない人物として描かれている彼が、人を動かして大軍に立ち向かう姿が、読みやすい文章で描かれているので、歴史小説を読み慣れていない人にもおすすめです。

真田家メインの歴史小説初心者におすすめ

「真田三代」火坂雅志

2016年の大河ドラマ「真田丸」で真田一族に興味を持った人におすすめの歴史小説です。作家の火坂雅志は2009年の大河ドラマ「天地人」の原作や、徳川家康に仕えた僧侶金地院崇伝を主人公にした「黒衣の宰相」などの歴史小説を著しています。

真田幸隆、昌幸、信之・幸村の三代にわたるこの歴史小説は、小勢力でありながら武力と知恵で家を守った真田家の物語であると同時に、父と息子の物語でもあります。真田十勇士も登場するので、忍者の活躍が読みたい人にもおすすめです。

幕末が舞台の歴史小説初心者におすすめ

「燃えよ剣」司馬遼太郎

幕末を扱った歴史小説には、新選組が登場することが多いです。司馬遼太郎の代表作とも言えるこの物語は、多摩(現在の東京都)のバラガキ(乱暴者)のトシこと、新撰組の土方歳三の生涯を描いたものです。

フィクションに描かれる土方歳三は、新選組のためならば手を汚すことも厭わない「鬼の副長」として描かれることが多いのですが、そのイメージを作ったともいえる歴史小説です。新撰組に興味のある人にはぜひおすすめしたい小説です。

初心者におすすめの短編歴史小説

「新選組血風録」司馬遼太郎

司馬遼太郎の手による短編集です。沖田総司や斎藤一などの有名な隊士が主人公の作品もあれば、ほぼ無名に近い人が主人公の作品もあります。文章が読みやすく、手に入りやすいので、初めて司馬遼太郎の作品を読むという人にもおすすめです。

この短編集の陰の主役とも言えるのが、隊士の山崎烝です。彼は副長土方歳三の命を受け、監察として人物や場所の調査にあたります。「池田屋異聞」では主人公を務めています。

永倉新八が主人公の歴史小説

「幕末新選組」池波正太郎

「剣客商売」や「鬼平犯科帳」などの時代小説を手掛けた作家、池波正太郎の歴史小説です。新選組隊士の永倉新八が主人公です。彼は創設時からの新選組のメンバーですが、剣の流派が違うので、近藤勇や土方歳三、沖田総司たちを、少し距離をおいたところから見ています。

新撰組隊士のその後を知りたい人におすすめ

この小説を書くにあたり、池波正太郎は永倉新八の孫に取材を行っています。新選組が無くなった後、生き残った隊士がどのような人生を歩んだのかを知りたい人におすすめの歴史小説です。

大河ドラマの予習・復習におすすめの歴史小説

「人斬り半次郎」池波正太郎

中村半次郎(後に桐野利秋と改名)が主人公の歴史小説です。薩摩(現在の鹿児島県)の下級武士の家に産まれた彼の人生は、西郷隆盛と出会ったことで一変します。西郷隆盛は2018年の大河ドラマの主人公なので、大河ドラマが好きな方は読むことをおすすめします。

中村半次郎は示現流の達人で、幕末四大人斬りにも数えられていますが、実際に斬った記録が残っているのは1人だけです。暗殺は現在のテロ行為ですが、池波正太郎の小説はいわゆる「飯テロ」を仕掛けてきます。読みやすい文章から昔の料理が想像できてしまい、胃袋に影響するので、空腹時には注意が必要です。

幕末に生きた女性が描かれた歴史小説

「輪違屋糸里」浅田次郎

芹沢鴨の暗殺を描いた浅田次郎の歴史小説です。幼いころに京都の島原(花街)に売られ、芸妓になった糸里にとって、音羽大夫は姉のような女性でした。ところが彼女は、壬生浪士組の芹沢鴨に無礼討ちにされてしまいます。壬生浪士組には、糸里が思いを寄せる土方歳三もおり、彼女は壬生浪士組の内部抗争に巻きこまれていきます。

芹沢鴨の意外な一面を見たい人におすすめ

新選組を題材にした歴史小説で、芹沢鴨は強いが酒癖の悪い人間として描かれることが多いです。この小説では、粗暴に見える彼の行動には、彼なりの理由があるものとして描かれています。また、侍や農民という出自に縛られる男と、花街に売られ、生まれ持った身分と関係なく生きる女が対照的です。文庫本には人物紹介も掲載されており、読みやすいです。

吉村貫一郎が主役の歴史小説

「壬生義士伝」浅田次郎

「壬生義士伝」の主人公は、吉村貫一郎という新選組の隊士です。複数の人々が、この人物について語る形で物語は進んでいきます。大正時代の新聞記者が関係者に取材を行う場面もあり、当時の政治史に興味のある人にもおすすめです。

吉村貫一郎は、遠くで暮らす家族のために働く父親です。もちろん、現在の勤め人とは仕事の内容は全く違い、家族に会うこともできないのですが、妻子を思う彼の心は、読者にも共感できると思います。また、浅田次郎の小説は「泣ける」ことで有名なので、いわゆる「涙活」をしたい時にもおすすめです。

あなたのおすすめの歴史小説は何ですか?

戦国時代や幕末を舞台にした比較的読みやすい歴史小説をおすすめしました。一般的に、出版年が古い本は手に入りにくいものですが、歴史小説は作家が亡くなった後も、新装版が発行されることが多く、手に入れやすいという長所があります。周りの人におすすめできるような歴史小説を、ぜひご自分で探してみてください。


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