車には、トランスミッションという機構が備わっています。トランスミッションにはいろいろと種類があり、自動車学校でもあるようなオートマチックトランスミッションと、マニュアルトランスミッションなどがあります。そんなトランスミッションの仕組みとは、どんな風になっているのでしょうか。ということで、車に搭載されているトランスミッションとはどんなものなのか、その意味や仕組み、特徴や種類についてまとめました。

目次
トランスミッションとは何か?特徴や種類などを紹介!
車やバイクには、トランスミッションという機構が搭載されています。これがなければ車を走らせることはできず、また種類も自動車学校でオートマチックトランスミッション(AT)やマニュアルトランスミッション(MT)などと区分されているようにいくつか存在しています。
そんなトランスミッションの仕組みや特徴、そもそもトランスミッションとはどんな意味を持っているかなどは皆さんご存じでしょうか。車が好きで趣味もドライブであるなど車好きの方はご存じの方も多いかもしれませんが、興味のない方は免許を持っていて車に乗っていてもなんのことやらといった感じでしょう。
では、そんな車に必須の機構であるトランスミッションとはどんな仕組みをしているのでしょうか。また種類ごとの特徴や、そもそもの単語の意味なども知っておきたいところ。ということで、トランスミッションとはどんな意味の言葉なのかや仕組み、種類ごとの特徴などについて詳しくご紹介します。
まずはトランスミッションの意味から
ではまず最初に、トランスミッションとはどんな意味の単語なのかをご紹介しておきましょう。トランスミッションというのは、英語では「transmission」、日本語に訳すと伝達すること、伝達されるものという意味や、伝染、メッセージ、伝導や伝動装置など色々な意味に訳することができます。
トランスミッションを自動車の分野で訳すると「変速機」という意味になります。もう少し難しい言葉で訳すると「歯車式変速装置」という意味にもなりますが、簡単にトランスミッションとは日本語で変速機という意味であると覚えていただければ問題はありません。
車のトランスミッションとは何?どんな役割が?
では次に、そのトランスミッションが車などでどんな役割を果たしているのか、どんな仕組みになっているのかなどについてご紹介していきます。トランスミッションとは、エンジンの動力をホイール、ひいてはタイヤまで適切に伝えて車を動かすために必要なギア、歯車のことを指します。
自動車は走っている状況、どれくらいのスピードを出したいかなどの運転状況に合わせて、そのギアを変更して最適なギアにさせていく必要があります。車には複数のギアが備わっているのが一般的で、大きさがそれぞれで異なっています。歯車の大きさが小さいものほど、車を走らせる力は大きくなります。
ギアの中で最もサイズが小さいのはローギア、一速でその次がセカンドギア、二速という風に上がっていきます。車には5速か6速までのギアが備わっているのが一般的で、kルマを走らせる力の強さはローギア、セカンドギア、サードギアといった順に数字が小さいものほど強くなっています。
そのため、信号などで停車した状態から車を走らせたいのであれば、まず一番力の強いローギアからスタートさせる必要があるのです。数字の小さいギアは力こそ強くスピードを上げるのも早いですが、時速はそこまで早くなるわけではありません。
逆にギアの数字が大きい4速や5速6速は、1速2速ほど力強く走れるわけではありませんが早く走行することができます。つまり走り出した時には1速、少しスピードが出て来たら2速、3速と上げていき、高速で走行したいのであれば4速5速辺りのギアへと変更していくことになるのです。
自動車学校のマニュアルトランスミッション車は5速のものが多く、市販の自動車でもトランスミッションは最高で6速、つまり6つの歯車があるものが一般的ですが、中には8つの歯車がある8段変速、8速まである自動車もあるのだそうです。
種類ごとに解説!手動で行うマニュアルトランスミッションとは
ではここからは、様々なトランスミッションの種類ごとの仕組み、特徴などについてご紹介していきましょう。まず最初に紹介するのは、マニュアルトランスミッションという種類になります。自動車学校でもオートマチックとマニュアルと呼ばれる区分があるため、聞いたことがある方も多いかと思われます。
まず、トランスミッションとは車ならエンジンの横のミッションケースという箱の中に入っているものです。マニュアルトランスミッションの中には大きく分けて3つのシャフトがあり、エンジン近くのエンジンシャフト、その動力を受け取るカウンターシャフト、更にそれをタイヤへとはこんでいくメインシャフトです。
運転席のシフトレバーは、5速のギアに加えてリバースシャフトがあるものが一般的で教習者もこれに当たります。このシフトレバーを1速、2速と動かすとそれに応じたシフトフォークシャフトが動き、その動きは5つのギアへとはこばれます。つまりは運転手がシフトレバーを動かしたら、そのギアに対応したシャフトが動いてギアが噛み合うようになっているということです。
元々世の中に車ができてから、長らくはすべてがマニュアルトランスミッションのものでした。加えてギアチェンジをする際はクラッチを2回踏む「ダブルクラッチ」という操作をするものとなっていたようです。しかし現在はクラッチを一回踏むだけ。これを可能にしたのが「フルシンクロメッシュ・マニュアルトランスミッション」という機構の開発によります。
「フルシンクロメッシュ・マニュアルトランスミッション」とは「常時噛合い式歯車」という意味で1速から5速まで、もしくは6速まで全ての歯車が常に噛合っている状態のトランスミッションです。現在のマニュアル車のミッションとは、このフルシンクロメッシュ・マニュアルトランスミッションを指します。
そんなフルシンクロメッシュ・マニュアルトランスミッションには「スリーブ」というものがギアの間に挟まっています。これが非常に重要な役割を持っていて、ギアチェンジは実際にはスリーブで行われています。スリーブとは高速で回転しているギア同士を入れ替えるため、エンジン側とタイヤ側のギアをタイミングよく噛み合わせせるための機構です。
なので、ギアを常に噛み合わせたままにしておき、スリーブで回転の伝達経路を変更させることで、スムーズにギアチェンジができるようにしているのです。
マニュアルトランスミッションの特徴・メリットデメリットについて
そんなマニュアルトランスミッションには、生産や個々人の趣味嗜好によってメリットやデメリットがでてきます。まずメリットは、生産する上でコストが安くなるということです。運転手が手動でギアを変更するため、その分余計な機構を入れることなくかつ構造自体もシンプルなので、少ないコストで作り出すことができるのです。
また車が好きな方であれば、運転が非常に楽しくなるというメリットもあります。後述するオートマチックトランスミッションでは運転がつまらないけれど、マニュアルなら自分の手足で車の操作している感覚が得られて楽しくなると感じる方も少なからずいるようです。加えていろいろと運転中にすべきことが増えるので、その分運転に集中し事故率を下げることにもつながっています。
逆にデメリットは、まず車好きなら操作が楽しいというメリットの裏返しでそこまで興味がない方は操作がとても面倒と感じてしまいます。またクラッチというものがあるため、操作ミスでエンジンの回転数を下げ過ぎると俗に「エンスト」と呼ばれるエンジンストールが起き、またエンジンをかけ直さなくてはなりません。公道でエンストしてしまうとあたふたしてしまう可能性が高いです。
二輪のマニュアルトランスミッションとは
車は現在オートマチックトランスミッションが主流になっていますが、バイクは依然としてマニュアルトランスミッションが主流です。操作は四輪車が足でクラッチを踏んで手でシフトレバーを操作するというのに対し、バイクでは手でクラッチを握り、足でシフトレバーを操作するという風になっています。
構造としては車のそれとはほぼ変わりません。が、ギアチェンジの仕組みは少し違っており、リターン式とロータリー式という2つの種類があります。リターン式とは下から1速、ニュートラル、2速~6速となっており速度が出るにつれてどんどん上にシフトレバーを上げていくという操作になっているのが特徴です。
対してロータリー式とは、リターン式とは違いつま先でギアを上げかかとでギアを下げる操作を行うのが特徴、ギアを回るように変えていくことからロータリー式と言われています。マニュアルトランスミッションのバイクでは、右手でアクセルと前ブレーキ、左手でクラッチ、右足でリアブレーキ、左足でシフトレバー操作と両手両足を使って操作しているのです。
オートマチックトランスミッションの仕組みとは
マニュアルトランスミッションの次はオートマチックトランスミッションについてです。オートマチックトランスミッションとは、ギア操作を自動で行う種類のものを挿します。オートマチック車にはマニュアルトランスミッションとは違いクラッチが無く、アクセルとブレーキの2ペダル式になっています。
オートマチック車にもシフトレバーはあり、駐車するときに使う「P」、バックの時に使う「R」、サイドブレーキを使えば停車時に使える「N」、普通の走行で使う「D」、エンジンブレーキを効かせたいときに使う「2」、非常にエンジンブレーキが強くミッションの1速に相当する「L」があります。
トルクコンバーター式トランスミッションとは
オートマチックトランスミッションの仕組みについてはいくつかの機構に分かれており、主な仕組みとしては「トルクコンバーター式」「CVT」「DCT」の3つが使われているものになります。1つ目のトルクコンバーター式とは「流体式クラッチ」という仕組みになっていて、クラッチの部分にオイルが入っています。
CVTというトランスミッション形式について
トルクコンバーターとはそのオイルの流れを利用したクラッチの機構で、2つ目の「CVT」とは「無段変速機」という意味のものです。マニュアル車とは違いギアを使わず、金属製の特殊なベルトとプーリーというもので変速する仕組みとなっています。
日本国内の軽自動車などを始めとした小型自動車はこのCVT形式が主流になってきているようで、特徴としては、トルクコンバーター式のオートマチックと比較してパワーのロスが少ないこと、常に最適なギアに変更して走行できるため燃費が良くなるといったものがあります。
最後の「DCT」とは「デュアルクラッチトランスミッション」という意味で、名前の通りクラッチが2つあるトランスミッションのことはこう呼ばれています。基本的な仕組みは、マニュアルトランスミッションと同じなのですが、マニュアルと違う点とはご紹介した通りクラッチが2つあること、そしてそれらは1つが奇数、もう1つが偶数のギアに繋がっているということです。
デュアルクラッチトランスミッションではギアを変更するとき、次のギアはあらかじめクラッチと繋がった状態になっている仕組みです。このため、シフトチェンジをする時には非常にスムーズに次のギアへ移ることができるという特徴があるのです。DCTではクラッチペダルが無いので、日本の運転免許区分ではDCTの車もAT免許で運転ができます。
DCTを搭載した自動車は発進の際に自動的に1速が選択され、1速で走っている間にあらかじめ次の2速のギアを準備して回転数を合わせています。そのためご紹介しました通りシフトチェンジが非常にスムーズ、かつ一般的なトルクコンバーター式のオートマチック車よりも駆動の効率がいいため燃費も良くなるという特徴があります。
逆に欠点となる特徴もあり、まずやはりマニュアル車と違い自動で変速を行います。ということは部品点数の増加や構造が複雑となり、コストが高くなるのです。またオートマチック車とは違いブレーキを離すとゆっくり進むクリープ現象もありませんので、オートマチック車にいつも乗られている方はいつも通りとはいかないのです。
オートマチックトランスミッションのメリットなど
オートマチック車のメリットは、なんといっても運転が非常に楽になるということです。マニュアル車では手動でやらなければならなかったシフトチェンジを機会が自動でやってくれるので、運転手は加速と減速、停止を繰り返すのみとなります。
シフトチェンジをするマニュアル車は両手両足で運転をしなければなりませんが、オートマ車はそれとは違うため片手でも運転自体はすることができますし、エンストの心配もありません。デメリットは、逆にブレーキを離せばクリープ減少により少しずつ進んでいくため思わぬ事故につながる恐れもあります。
またシフトチェンジが自動であるため構造が複雑化し、車の値段が高くなること、マニュアルによる運転が好きな方は運転中にやることが少ないためつまらないと思うことが大半です。
二輪車のオートマチック車
バイクにもオートマチック車は存在しています。原付と言って大抵の方が思い浮かべるスクーター系のバイクはすべてがオートマチック車で、クラッチやシフトペダルとは無縁のバイクです。代わりに車と同じく値段が高く、また車体の重量自体も重めになります。
最近ではホンダの「NM4-01,02」にデュアルトランスクラッチミッションというミッションが使われています。デュアルトランスクラッチミッションとはマニュアルトランスミッションとオートマチックトランスミッションのどちらにもできる便利なミッションです。
マニュアルとオートマが融合した「AMT」とは
最後にご紹介するトランスミッションは「AMT」という種類のものになります。AMTとは、マニュアル車のシフトチェンジを自動的に行うようにしたオートマチック車のことで、基本的な仕組みに関してはマニュアルトランスミッションと同じになります。
仕組み的にはマニュアルトランスミッションのクラッチ操作とシフトチェンジを電子制御、自動化したものとなり、セミオートマチックとも呼ばれています。基本がマニュアル車ということでエンジンの伝達効率が良く、パワーロスが少ないこと、高速走行時の燃費が良いなどに通ったメリットを持っていることが特徴です。
マニュアル車ではシフトチェンジをしたとき、変速ショックという軽い衝撃が伴います。AMT車もマニュアル車と基本の仕組みが同じなので、軽くショックがあります。この変速ショックが運転時に不快になっているのか、最近ではAMTを搭載している車は非常に少なくなっています。
加えて、シフトチェンジをする際に大きくタイムラグが発生することもあります。これは、素早くシフトチェンジすると前述の変速ショックが大きなものになるので、ある程度の時間をかけてシフトチェンジをして、変速ショックを抑えるためです。しかしタイムラグがあるのはスムーズにギアが変更できないので、これもデメリットとなっています。
AMTを搭載している車は非常に少ないとご紹介しましたが、近年の国産車では、現在は製造販売が終了しているトヨタのMR-S、2015年のスズキ・アルトワークスでAGSという名称で使われているのみとなっています。
それぞれのトランスミッションの利点などをおさらい
色々とトランスミッションの種類ごとの特徴などをご紹介しましたが、ここで簡単にそれぞれのメリットなどをまとめておきましょう。まず最初にご紹介したマニュアル車は燃費が良くなることとマニュアルによる運転好きならば非常に運転が楽しいこと、操作がその分複雑になるなどがあります。
次にトルクコンバーター式のオートマチック車は発進と変速が自動で行われるのでスムーズであること、エンジンのパワーの伝達効率や燃費が良いとは言えないことや運転を詰まらないと思う方もいるなどが挙げられます。
オートマチック車の中のCVTはトルクコンバーター式と比較して燃費が良いこと、ギアが無いために変速ショックが無いことやトルクの大きい車には使えなかったりサイズが大きいため重量が増してしまうなどがあります。DCTも燃費が良く変速はすぐに行えるメリットを持っています。
しかしクリープ現象が発生しないため発進がスムーズにいかない可能性があったり、部品点数が多いなどの理由でコストが高くつきます。最後のAMTは仕組みがマニュアル車と似ているので燃費が良くパワーの伝達効率が良いですが、変速ショックやタイムラグがあるなどが挙げられます。
トランスミッションが故障した場合の原因や対処法とは
トランスミッションとはどんなものなのかや種類ごとの特徴などをご紹介してきました。お分かりいただけたと思いますが、エンジンとトランスミッションとは切っても切り離せない関係で、車にとっていずれも必要不可欠な機能です。どちらかに不具合が発生してしまうと走行ができなくなります。
そして、トランスミッションは複雑な機構をした機械です。大小のギアやベアリングをはじめとして多数の金属部品が1つ1つに組み合わさってそれぞれの動きをしているのですが、ずっと使用し続けていると摩耗が起こり、いずれは破損してしまいます。
主にどういった故障があるかと言えば、走っていると異音が聞こえる、ギアが入らなくなってしまう、走ること自体できなくなるなどが挙げられます。まず異音が発生する場合は走行へも大きな悪影響を及ぼし、原因としては経年劣化でギアが欠けている可能性が高いです。
ご紹介しました通りトランスミッションは細かいギアがかみ合って動いているので、1つでもギアに欠けがあれば異音に繋がります。この場合経験があれば自分でも修理はできますが、不安があるならばディーラーに修理を依頼するのが一番安心できます。専門知識と技術が必要な修理ですので、迷わずプロに修理してもらいましょう。
次にギアが入らない、入りにくいのはシフトノブを固定しているボルトが緩むことによってギアが固着してしまっていると考えられます。ボルトが緩むのは、特に振動が大きな車の場合はその振動が原因となりトランスミッション以外のボルト系が緩んでいってしまいます。
そんなに振動が大きくない自動車ならば定期的に点検をし締め直すこと、もし同じ箇所上るとばかりすぐ緩んでしまう場合は、「ネジロック剤」という液体を塗り込んでからボルトを締めることで、振動でボルトが緩むことがなくなりますのでおすすめです。
トランスミッションとは車両に欠かせないものである
トランスミッションとはどんな仕組みと意味をしているのかや種類ごとに持っている特徴などについてご紹介しました。トランスクラッチミッションとは自動車学校で見るマニュアルとオートマチックだけではなく、オートマチック車の中にもCVTなどの一般的なトルクコンバーター式とは仕組みが異なるものや、AMTのようにマニュアルとオートマチックを組み合わせたようなものもありました。
やはりどのトランスミッションにもメリットとデメリットは存在しています。最近はオートマチック車でもハイブリッド車となって燃費が向上したり、変速もスムーズにできるようになっているなどデメリットが改善されてきています。そのためスポーツカーのような車種でない限りマニュアル車は淘汰されつつあります。
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