マツダのハイブリッドを打ち負かす新型エンジンは「HCCI」技術を採用したガソリンエンジンでもなくディーゼルエンジンとも違う新技術のハイブリッドの先を行くマツダの新しいテクノロジーです。燃費も3~40%抑えたお財布にも優しいテクノロジーです。

マツダのハイブリッドを打ち負かす!?新しいエンジンとは?

目次

  1. 世界初の新エンジン「SKYACTIV-X」
  2. 「SKYACTIV-X」は”第二世代スカイアクティブ”の目玉
  3. 新技術HCCIとは
  4. HCCI燃焼とは
  5. 燃費向上は20~30%
  6. HCCIの難しさ
  7. 不完全燃焼←HCCI→ノッキング
  8. ガソリンの質や空気の違い
  9. HCCI燃焼とプラグ燃焼の切り替え
  10. マツダが開発するHCCIエンジン
  11. ロータリーエンジンへの活用
  12. いまさら聞けないSKYACTIVという技術
  13. スカイアクティブは第二世代へ
  14. 新型マツダアクセラはHCCIエンジン搭載へ
  15. まとめ:新型エンジンの名前はHCCIエンジン

世界初の新エンジン「SKYACTIV-X」

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジン

マツダが新型エンジンの実用化に成功したことを正式に発表しました。その名も「SKYACTIV-X」です。以前から開発中だと紹介されてきましたが、新型エンジン搭載の車種の販売が2018年末となりました。

「SKYACTIV-X」は”第二世代スカイアクティブ”の目玉

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジンと新技術

新型エンジンの名前は「SKYACTIV-X」(スカイアクティブ-X)です。マツダは2010年以降、新技術を「スカイアクティブ・テクノロジー」と銘打って一貫開発しています。現在販売されているマツダ車種に搭載されているのは、ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G」とディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D」があります。

「スカイアクティブ」は、2012年発売の初代CX-5以降のすべての新型マツダ車種(OEMは除く)に全面採用されてきました。一覧にするとCX-5/アテンザ/アクセラ/デミオ/ロードスター/CX-3/CX-9/CX-4と続き、2016年末に2代目CX-5が発売されたことで一巡しました。

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「スカイアクティブ・テクノロジー」がマツダ車全体に採用されるにいたり、市場の評価も良好です。「スカイアクティブ」はいよいよ第二世代に移行していくことになります。そして新型エンジン「SKYACTIV-X」と、その裏にある新技術「HCCI」が第二世代「スカイアクティブ」の目玉になります。

新技術HCCIとは

ハイブリッドを負かすマツダの新技術「HCCI]

「SKYACTIV-X」は単にマツダの新型エンジンとはいいません。世界初の超画期的な新技術を採用したエンジンです。「マツダの新型エンジン」と聞いてロータリーエンジンを思い起こした方も多いと思いますが、「SKYACTIV-X」の「世界初」は違う方向性です。資料を一覧してみると外観は普通のレシプロエンジンと同じで、ピストンが往復して回転運動を取り出すのも同じです。

燃料も普通のガソリンです。では何がすごいのか。ガソリンの燃え方が今までとは全く違います。一覧によると、従来のエンジンはプラグでガソリンに点火するのに対して「HCCI」ではガソリンが自己着火するように綿密に制御するのです。燃費向上と排ガス浄化がメリットですが、制御が超絶難しい。という技術です。

何も開発していたのはマツダだけではなく、市販車に投入できるレベルで実用化した(正式発表している以上、市販車投入可能なレベルに達したのでしょう)のはマツダだけです。技術内容はともかく、実用化できたのはロータリーエンジンと同じですね。ちなみに「HCCI」はロータリーエンジンにも適用可能な技術ですが、資料一覧に記載がないことで先行きは明るくありません。

HCCI燃焼とは

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジンの「HCCI」燃焼

手元の資料一覧によると「HCCI」(=Homogeneous-Charge-Compression-Ignition)とは「予混合圧縮自動着火」という技術の事です。「空気と燃料を予め混合し圧縮によって自動着火させる」技術です。

通常のガソリンエンジンでは圧縮した混合器を点火プラグによって発火させて燃焼していますが、「HCCI」では圧縮による自己発火のみで燃焼させます。燃料に軽油を使ったディーゼルエンジンでも自己発火によって燃焼させていますが、ディーゼルエンジンでは燃焼させたい瞬間に燃料を噴射するので技術的難易度は全く異なります。

ハイブリッドを負かすマツダの新技術HCCIのメリット

うまく制御された「HCCI]では燃焼室全体で着火が起るので、燃焼室の形状に寄らず理想的な燃焼を形成することができます。そのため、燃料をごく薄くした超リーンバーン(希薄燃焼)が可能になり、燃費性能が高まります。手元の資料一覧ではさらにNOxやすすがほとんど出ないため、排気ガスがクリーンになるというメリットもあります。

究極のリーンバーンであり、ガソリンの燃焼を使ったエンジンとしては、ある意味究極のエンジンといえます。燃費性能を飛躍的に向上させられます。これが「HCCI」を世紀の大発明と呼ぶ理由です。

燃費向上は20~30%

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジンの燃費は20~30%といわれてる

燃費向上は最大で20~30%だそうです。資料一覧では車重や排気量などの条件は様々なので一概に言えるものではありません。車種を一覧してみるとデミオは現行モデルが24.6km/Lで「HCCI」エンジンが32.0km/L、アクセラで現行モデルが20.4km/Lで「HCCI」エンジンは26.5km/L、CX-5で現行モデルは16.0km/Lで「HCCI」エンジンが20.8km/Lになります。

参考までにハイブリッドコンパクト3車の燃費は、トヨタ・アクアが37.0km/L、フィットハイブリッドが33.6km/L、ノートe-POWERが34.0km/Lです。「HCCI」は非ハイブリッドでこの燃費ですからかなりすごいことなんですよこれ。当然「HCCI」にはハイブリッド車のデメリットがありません。

HCCIの難しさ

ハイブリッドを負かすマツダの新技術「HCCI」の難しさ

大きなメリットがあるにもかかわらず実用化できなかったのは、「HCCI」エンジンの開発が非常に難しいからです。ほかのメーカーからの市販化は現状うわさにすら聞きません。ガソリンで「HCCI」燃焼を使うためには、一定の条件を満たす必要があります。空気と燃料の比率、混ざり方、圧力、温度です。これらの条件がちょうどよくそろわないと「HCCI」燃焼にはなりません。

不完全燃焼←HCCI→ノッキング

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジン「HCCI」のバランス

ガスの温度が高すぎたり圧力が高すぎると、自己発火が起きるべきタイミングより早く発火してしまいます。手元の資料一覧によると圧縮過程中の発火つまりノッキングが起きるわけですね。カラカラと不快な音がするだけではなく出力低下や燃費悪化につながりますし最悪の場合エンジン部品を破損する可能性があります。

一方温度が低すぎたり圧力が低すぎると、自己発火がうまく起きずに不完全燃焼してしまいます。もちろん出力や燃費が悪化しますし、排気にはHC(炭化水素)が多量に含まれることになります。HCは公害の原因になるので触媒で除去(水と二酸化炭素に酸化)する必要があります。

ガソリンの質や空気の違い

ハイブリッドを負かすマツダの新技術の弱点

実験室で決められた条件の下で「HCCI」燃焼を制御することができたとしても、実用市販車では簡単には使えません温度条件は当然変わりますし、そもそも発火するガソリン自体が同じではありません。資料一覧では一般にはガソリンには「レギュラー」「ハイオク」の2種類があるだけですが、ガソリンは均一な物質ではありません。

一定の性能範囲で収まっている石油製品がガソリンなのであって、酸素(=O2)のように一定ではありません。日本国内だけならまだしも、国外、特に発展途上国には低湿なガソリンが供給されている国も多く、様々な質の燃料に合わせて制御を変更しなくてはいけません。

さらに、空気だって一定ではありません。自然吸気エンジンでは大気圧によって空気を燃焼室に取り込みます。大気圧だって世界中一定ではありませんし、天気によっても変化します。さらに同じ大気圧でも温度によって取り込まれる量は変化します。

HCCI燃焼とプラグ燃焼の切り替え

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジン打開策とは

上に挙げたような条件を満たしながら常に「HCCI」による燃焼を維持するのは非常に難しいのです。これは実用化を目指していたマツダだって同じです。常に「HCCI」にできないのであれば、うまくいく範囲だけ「HCCI」を活用して、難しい部分はプラグ燃焼を用いることが考えられます。

でもこの切り替えも簡単ではありません。資料一覧によると「HCCI」燃焼が可能な領域を正しく判定しなければいけないからです。「HCCI」燃焼ができない領域なのにプラグ点火をやめてしまえば、燃料は燃焼することなくそのまま排出されてしまいます。「HCCI」燃焼が可能になるのは、低~中回転だと見込まれています。

なので高回転になるたびに「HCCI」燃焼とプラグ燃焼の切り替えが発生します。ガソリンも温度も大気圧も回転数も刻々と変化する中で、「HCCI」の条件を正確に見極め、燃料と空気を的確な比率で混合し、ちょうど良いタイミングで「HCCI」燃焼とプラグ燃焼を切り替える。考えただけでもいかに難しいかがわかりますね。

マツダが開発するHCCIエンジン

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジン「HCCI」の実用化

今回のお話で新しいことは、有力紙に明確な時期が登場したことと、アクセラのフルモデルチェンジが初投入だと書かれたことです。この記事一覧についてマツダから公式発表があったわけではありません。しかし、マツダが第2世代スカイアクティブの目玉として投入したいと言っていることを考慮すると十分に説得力がある内容だと思います。

ロータリーエンジンへの活用

ハイブリッドを負かすマツダの新型エンジンロータリーエンジンは?

「マツダの新開発エンジン」と聞くと、どうしてもロータリーエンジンの事が気になってしまいますね。今のところ「HCCI」燃焼はレシプロエンジンを対象に開発されていますが、ロータリーエンジンに無関係の技術ではありません。ロータリーエンジンはレシプロエンジン以上に燃焼の広げ方(混合器全体を効率的に発火させる)が難しいエンジンです。これは構造上仕方ありません。

燃焼室が細長く広がり、その端に点火プラグがあるので燃焼の広がりが良くありません。点火プラグが2本あるのも、できるだけ効率的に着火するために時間差で2つのプラグを添加するためです。点火・燃焼の効率の悪さは、ロータリーエンジンの燃費が悪いことの一因になっています。もし「HCCI」燃焼がロータリーエンジンでも実現すれば、燃費が大きく向上するはずです。

ただ現実にはそう簡単にいかないでしょう。多大なコストを投入してまでも実現するメリットがあるのか微妙ですし、みんなが期待するスポーツカー+ロータリーエンジンに「HCCI」が合うのか(高回転では結局プラグ点火になる)も疑問です。

どちらかというとロータリーエンジンを動力源ではなく発電用として使う使用法、シリーズハイブリッドやレンジエクステンダーEVへの活用のほうが期待できそうだと思います。日産がシリーズハイブリッド車を投入したことで注目されていますしね。

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いまさら聞けないSKYACTIVという技術

「SKYACTIV-TECHNOLOGY」とは、ざっくり言えば「理想を追求するために、車の部品をまるっと新規開発した技術の総称」です。例えば、「自動車全体の包括的な技術群の総称」です。ちなみに「SKYACTIV」であって「SKYACTIV"E"」ではありません。商標の関係だと思います。(Blu-rayがBlu"e"-rayじゃないのも商標の関係で一般名詞を裂けました)

今までの開発手法の問題点

一般的な自動車開発では、エンジン、トランスミッション、プラットフォームなどの技術が異なる時期に別々に開発されて、その時期で最適(≒最新)の技術を採用していくという方法をとっています。順々に新しい技術を採用できるため効率的なように思えますが、これではできないこともあります。

車としての全体最適を考えると、理想的な構成をとりたくても今ある技術の組み合わせや一部分の改良では理想とならないという問題がありました。例えば、新シャーシに既存のトランスミッションを載せる場合、シャーシの形状をトランスミッションに合わせて湾曲させなければならないといったことが起きます。

トランスミッションとシャーシの同時開発であれば、トランスミッションの外形を変更することで理想的なシャーシ形状にして合成と軽量化を実現する、といったことが可能となりました。マツダの「SKYACTIV」では、要素技術を一気に開発することで、車両全体での理想を追求できるようにしています。

スカイアクティブ要素技術

現在すでに搭載されている技術は以下の4要素・6技術です。エンジンは「SKYACTIV-G(ガソリン)」「SKYACTIV-D(ディーゼル)」です。トランスミッションは「SKYACTIV-DRIVE(オートマチック)」「SKYACTIV-MT(マニュアル)」です。ボディは「SKYACTIV-BODY」で、シャーシは「SKYACTIV-CHASSIS」です。

いずれも目玉となるような新技術はありませんが、現在の技術でできることを極限にまで追求した出来になっています。例をあげますと、「SKYACTIV-G」:量産ガソリンエンジンで世界一の高圧縮比14.0より高トルクで低燃費に、「SKYACTIV-DRIVE」:高効率となるロックアップ領域を従来の49%から82%に大幅改善、「SKYACTIV-BODY」:30%の剛性向上と8%の軽量化。

といった世界最高レベルのユニットに仕上がりました。基本は既存の技術でも、すべてを最高レベルまで昇華させれば実用燃費でハイブリッドカー並みの低燃費を実現できることを証明しました。ロータリーエンジンは「SKYACTIV-R」という名前になることが発表されています。ロータリーエンジンの搭載を想定した「RX-VISION」というコンセプトカーも発表されています。

周辺技術

要素技術以外では、Gベクタリングコントロールという新技術も搭載されています。センサー+電子制御によって、人間が感知できないほどの速度・精度で荷重変化を起こすことで、走りを安定させたり回頭性をあげたりしています。

搭載車種

資料の搭載車種一覧表によるとCX-7は部分採用で、エンジンやトランスミッションなどの一部のみ「SKYACTIV」を採用しました。既存車種のマイナーチェンジで「SKYACTIV」のユニットに変更しています。プレマシーは残るのではと見込んでいましたが、クーペ風SUVのCX-4が発表されたことで「8車種枠」から外れましたね。

プレマシーはビアンテと共にフルモデルチェンジもなく生産終了です。マツダからミニバンの車種が無くなりましたね。CX-7の生産終了の情報はまだ得られていませんが、生産能力集中のために生産終了となるでしょう。マツダは主にヨーロッパでの販売に力を入れていたメーカーで、ヨーロッパの自動車メーカーと似た考え方や価格設定、ブランド戦略で車づくりをしてきました。

現在のマツダは、日本での評価に比べてヨーロッパでのほうが高く評価されています。高級志向のある価格設定の車種は残し、低価格のほぼ日本でしか売れないミニバンや軽などの車種を廃止して(軽の生産からは1998年に撤退済み)、世界的な販売が見込まれる世界基準の価格設定の車種SUVやCセグメント、Dセグメントに集中するのでしょう。

スカイアクティブは第二世代へ

第一世代「スカイアクティブ」を全面採用した8車種が勢ぞろいしたことで、「スカイアクティブ」は第二世代へと移行していきます。その第一弾として、2017年2月に新型CX-5(2代目)が発売されました。技術面での第二世代への本格移行は2018年からと説明されているように、第二世代「スカイアクティブ」の目玉として「HCCI」技術が登場します。

次期アクセラへの搭載など情報が出てきたことでいよいよ現実味が帯びてきましたね。現行アクセラなどに投入されている「G-ベクタリングコントロール」は第二世代技術の一つ(つまり先行投入)だと言われています。これもかなり面白い技術ですよ。

新型マツダアクセラはHCCIエンジン搭載へ

新型「HCCI」エンジン搭載は新型マツダアクセラにそして価格は?

新型マツダアクセラには「HCCI」エンジンが搭載される予定です。「HCCI」エンジンの市場レビューを見る限り、前評判で大幅に改善すると言われていた燃費は高速道路で5%程度の向上である一方、市街地での燃費は10%以上向上するとのことです。走行状況によって燃費が大きく変わらないのでしょうね。

トルク感は自然吸気エンジンとターボの中間で、パワフルなエンジン性能を楽しめます。価格は「HCCI」エンジン搭載ということもあり高めの価格設定となります。15XD-2WDの価格が233万8千円、15XD-PROACTIVE-2WDの価格が244万円、15XD-L-Package-2WDの価格が268万9000円です。ディーゼルは最低価格で176万円から、最高価格で331万円となります。

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まとめ:新型エンジンの名前はHCCIエンジン

マツダのハイブリッドも打ち負かす新型エンジンは「HCCI」で新技術の名前は「SKYACTIV-X」となりました。初代搭載車は新型マツダアクセラで発売予定は2018年末となるもようです。

もう一つの「マツダの世界初」ロータリーエンジンの未来はあまり明るくはないようで今回のマツダの発表は2030年を見据えた長期ビジョンを兼ねていましたが、ロータリーエンジンについては触れられていません。長期ビジョンにすら出されないところを見ると(自動車メーカーとしては)小さなメーカーが多額の投資をして開発を続けられるようなエンジンではないのでしょうね。


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